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朝カレーでもOK! ハッピー人生をつくる「朝ごはん」のパワー

永山久夫(食文化史研究家/長寿食研究家)

2013年05月16日 公開 2022年12月21日 更新

情報化時代の生卵かけご飯

 ホカホカのご飯と生卵、それに醤油だけで美味至高なのが卵かけご飯。和食文化の専売特許的な食べ方といってもいいでしょう。

 外国には、生の卵を食べる習慣はあまりありませんが、刺身に見られるように、日本人は「生食」を何よりも好みます。日本人の「生好み」は縄文人以来のもので、旬の脂ののった魚なら、刺身にして食べるのが最もおいしいことをよく知っていました。

 生で食べるので、焼いたり、煮たりすることによって生じる栄養成分のロスがまったくありません。各種の酵素もしっかりと生きています。栄養効率も資源効率も高く、卵の生食は、考えてみれば卵の刺身のようなところがあります。

 日本の長寿者の好きな食べ方は刺身、握り鮨、そして卵かけご飯なのです。

 卵は昔から「精のつく食べ物」として珍重され、病気見舞いというと、もみ殻入りの箱に詰めて持参したものでした。

 卵かけご飯は日本人の気力充実食。疲れた時など、いつの間にかご飯に生卵をかけて口の中にかっ込んでいたりします。すると力が満ちてきて、元気が湧き出すのです。卵には栄養素成分はことごとく含まれていて、ほぼ完全食。ヒヨコという生命体を誕生させるために必要な材科をすべて持っているのです。

 <生たまご 醤油の雲に きみの月>

 器に割って入れた生卵の黄身は満月、そして、醤油はまるで雲のようだという江戸時代の川柳ですが、見事な感性ではありませんか。ご飯にかけて食べてしまえば消滅してしまう生卵に、小さな宇宙を見ているのですから。

 卵などに多いタンパク質は、体のさまざまな部分を形成しているだけでなく、病気に対する抵抗力を作っている重要な栄養成分。

 中年を過ぎると、若い頃には弾力性に富み、しなやかだった血管もだんだんこわばり、もろくなっていきます。「人は血管とともに老いる」といわれるように、動脈硬化という老化現象がはじまるのです。

 それを防ぐ成分のひとつが、黄身に多いコリンという成分で、血行をよくし、動脈硬化などが起こりにくくする働きが期待されています。

 コリンは大豆などに多いレシチンの主成分で、脳の老化を防ぎ、学習能力や創造性を高める成分としても注目されています。

 コリンが脳の中でその持てるパワーを十分に発揮するためには、ビタミンB12が欠かせませんが、このビタミンも黄身にたっぷり含まれています。卵かけご飯は脳の機能をハイにし、その老化を防いで、シャープな頭脳力を維持するための頭脳食なのです。

 情報化時代のスピードについて行くために、生卵かけご飯を食べましょう。

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朝カレーでもOK

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