感じのいい人は、話し上手である前に、人との心地よい関係を築くのが上手です。会話が途切れても慌てず、苦手な相手とも適切な距離感を保ち、相手の何気ない言葉や好みを覚えている。そんなさりげない振る舞いの一つひとつが、相手に安心感や信頼感を与えています。特別なテクニックではなく、相手を思いやる気持ちから生まれる習慣だからこそ、誰でも今日から実践することができます。
本稿では、一般社団法人JCMA代表理事でコミュニケーション講師の吉井奈々氏に、人に「また会いたい」と思われる人が自然に身につけている心配りを紹介していただきます。(イラスト:松本麻希)
※本稿は、吉井奈々著『なぜか、また会いたくなる 感じのいい人の心がけ帳』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
無言の間をプラスに変える

会話が途切れたとき、「何か話さなきゃ」と焦ってしまうことはありませんか?
でもそんなときこそ、ふっと笑って「あなたといると落ち着くな」と伝えてみる。そのひとことで、気まずい沈黙は「心地よい時間」に変わります。
沈黙を怖がらずに、ただ一緒にいる。その安心感が、相手の心をゆっくりと解きほぐします。
沈黙は、決して「気まずいもの」ではありません。
むしろ無理をせず、そのままの自分でいられるという深い信頼の証でもあります。
会話が止まったとき、相手は心の中で言葉を探していたり、ただその場の空気を感じていたりします。だから、そんなときは「何か話さなきゃ」と焦って話題を探すよりも、ゆったりと構えて待ってみる。「待つ」というのも、立派なコミュニケーションの1つです。
沈黙を、ふたりで共有できるものだと感じられたとき、その場には不思議とあたたかい安心感が生まれます。
そして、ふとした瞬間に「一緒にいると落ち着くね」と添えられれば、もう十分。その余裕とやさしさが、相手にとっての最高の癒しになます。
沈黙の扱い方には、その人の内面にある相手への思いやりがにじみ出ます。焦らず、急かさず、ただ隣にいられる人。そんな「感じのいい沈黙」を、今日から少しだけ意識してみませんか。
--♪沈黙は「言葉の休憩時間」。お互いの心が深呼吸をしてる証拠だから、焦らなくて大丈夫です♪--
ほんのり笑顔で心のシャッターを下ろす

苦手な人と話さなければならない場面、誰にでもありますよね。けれど、相手の言葉にいちいち心をゆらす必要はありません。そんなときは、心の中でそっとシャッターを下ろしてみる。表情はほんのり笑顔で「そうなんですね」と軽く受け流す。
自分の心を守れる人は、周りにも穏やかでいられます。しなやかな大人の知恵です。
私たちは、すべての人とわかり合えるわけではありません。価値観を押しつけてくる人や、無意識に人を傷つけるような言葉を投げてくる相手と真正面から向き合い続けるのは、思っている以上に心をすり減らします。
そんなときに感じのいい人が使っている魔法が、「心のシャッターを下ろす」です。
あからさまに拒む必要はありません。表面ではやわらかくほほ笑みながら、「そうなんですね」と軽く受け止める。
ふと誰かに話しかけられたときや、会議は終わったのになかなか雑談が終わらないときなど、話を早めに切り上げたいときは、
「その話、続きが気になるのですがこの後会議が入っていまして、すみませんが、また今度続きを聞かせてください」と、言ってみてください。
「また今度、あの続きを聞かさせれるのか...」と思われるかもしれませんが、実際は相手も日をまたぐとその話にはもう興味がなくなっていたり、何を話していたかも忘れていたりします。
戦わず、逃げず、でも侵されない。そんな強さが大人の「感じのよさ」をつくっていきます。
--♪心のシャッターを下ろしながら、つくった笑顔で「へー」って流すのが、一番の護身術です♪--
記憶を贈り物に変えられる

人は、自分のことを覚えてもらえていたとき、大きなよろこびを感じます。それは「大切にされている」と、言葉よりもまっすぐ届くから。
ふと話した好きなものや、何気ないひとこと。本人さえも忘れていたような小さなことを覚えていてくれて、さりげなくかたちにしてくれる。その瞬間、深いよろこびと安心感に包まれるのです。
お寿司屋さんの大将が、わさびが苦手なことを覚えていてくれたり、左利きに合わせてお箸の向きを変えてくれていたり。
同じ料理でも、「また行きたい」と思うのは、自分のことを覚えてくれているお店ですよね。
人との関係も同じです。
「あのときのプロジェクト、本当に助かりました」と、何年後かに伝えてくれる人。
「この前おっしゃっていた件、その後いかがですか?」と、さりげなく聞いてくれる人。
そういうひとことに、人の心はぐっと動きます。
記憶するのは難しそうに感じますが、会う前に相手のSNSを確認したり、以前の写真を見直すだけでも思い出せるものがあるはずです。
なので、会ったときに1枚写真を撮っておくと、後々思い返すときのヒントになります。
また会いたいと思われる人、紹介したいと思われる人は、こうした「覚えている」というやさしさをさりげなくプレゼントできる人です。
--♪覚えていてもらえると「私のこと大切にしてくれてる」って思える。記憶って愛情と同じなんです♪--







