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社会

石破茂 日本を、取り戻す。

石破茂

2013年06月28日 公開 2021年01月13日 更新

事の本質から逃げない政治を

以上、いろいろ課題を挙げましたが、やはり日本にとって喫緊の課題は経済と安全保障の立て直しです。どちらも日本の構造的な部分に根差した問題ですから、抜本的な改善のためには憲法改正が必要になります。

たとえば、皆さんが韓国に出張している間に北朝鮮からの突然の攻撃があり、命からがら仁川空港まで逃げてきたとします。

しかし、もしその仁川空港が「安全が確保されていない」と判断されれば、韓国側が派遣に同意してくれたとしても、日本の自衛隊の飛行機で助けに行けない場合がありうるのです。

空港の安全が確保されていない、つまり「国際紛争を解決する手段としての武力の行使」が行われているような状況下で自衛隊が救出に行けば、

そこで国民を守るために行う武器の使用が「国際紛争」に巻き込まれ、結果的に憲法で禁止されている「国際紛争を解決する手段としての武力の行使」につながるおそれがあるということで、法律上認められていないからなのです。

しかし国民の生命や財産を守るのは国家の責務です。それを憲法が阻んでいるのであれば、それは憲法のほうが間違っているのではないでしょうか。そういうことを私たちはきちんと議論したいと思っています。

経済・産業構造改革と憲法は大して関係がないと思われているでしょうが、日本国憲法における私有財産を保護するための「私権」は「公権」とのバランスを失するほどに強力で、

これが農地、林地、水源地の大規模化や地籍確定、あるいは宅地や商業地の美観などに大きな支障となっています。そういう話をきちんとしていくのが私ども与党の責務であり、それをしないかぎり、日本を取り戻すことはできないと思っています。

よく「政治不信」と言われます。読者の皆さんも、あるいは「政治家は嘘つきで、裏で何をしているか分からない」と思っておられるかもしれません。

しかし問題なのは、われわれ政治家の側が勝手に「国民不信」に陥り、本当のことを勇気を持って語らずにきたことなのだ――私はそう思っています。

国民を信じて本当のことを言う、そういう政治を取り戻すことが、日本を再生させる1つの道だと思っています。

わが国は危機的状況にあります。経済、財政、外交、安全保障、農業・農村、教育と課題は山積しています。でも、いまみんなで立て直すことができれば、まだ間に合う。そのためには嫌われることを覚悟で真実を語り、国民に判断してもらわなければなりません。

だからこそ、私たち自民党はどんなに高い支持率をいただいていても、参院選が間近に迫っていても、憲法改正を語り続けているのです。

 

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