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「オーディオブック大賞2026」受賞者が語った“聴く読書”の魅力 『成瀬』など受賞

Moguru編集部

2026年10月16日 公開

「オーディオブック大賞2026」受賞者が語った“聴く読書”の魅力 『成瀬』など受賞

2026年10月5日、「オーディオブック大賞2026」の授賞式が開催されました。

国内最大級のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」が主催する同賞は、オーディオブック市場のさらなる発展と、優れた作品の制作を奨励することを目的としたアワードです。今年は約1200名のユーザーから投票が寄せられ、文芸部門、ビジネス書部門などの受賞作が決定しました。

文芸部門の大賞には宮島未奈さんの『成瀬は都を駆け抜ける』、ビジネス書部門の大賞には橋本之克さんの『世界は行動経済学でできている』が選ばれています。

本稿では、授賞式で語られた受賞者の言葉を紹介します。

 

「聞くことで解決できることを増やす」見据える次の20年

久保田裕也さん

冒頭では、株式会社オトバンク代表取締役社長の久保田裕也さんが挨拶しました。

オトバンクは2004年に創業し、2007年からオーディオブックの配信事業を開始。2027年には事業開始から20周年を迎えます。

久保田さんは、かつては主にビジネスパーソンが移動中に利用することの多かったオーディオブックが、スマートフォンやワイヤレスイヤホンの普及に伴い、家事や育児、運動中などさまざまな場面で利用されるようになったと振り返りました。ジャンルもビジネス書だけでなく、文芸やエンターテインメントへと広がっているといいます。

今後については、「これまでの20年は聞ける人を増やすことに注力してきた」としたうえで、「これからの20年は、聞くことで解決できることを増やすフェーズ」と展望を語りました。

学ぶ時間を取りにくいビジネスパーソンや、文字による読書が難しくなったシニア、育児中の人、視覚や識字に困難を抱える人などにも音声を届け、「社会の課題を解決するインフラ」を目指したいと話しました。

 

文芸部門大賞『成瀬は都を駆け抜ける』

文芸部門の大賞には、宮島未奈さんの『成瀬は都を駆け抜ける』(新潮社)が選ばれました。

宮島さんから寄せられたコメントを、担当編集者の大嶋麻友子さんが代読しました。

シリーズ第1作『成瀬は天下を取りにいく』も「オーディオブック大賞2024」の聴き放題部門大賞を受賞しており、シリーズで再び受賞できたことが嬉しかったという宮島さん。

自身が書いた文章でも、声優の演技やBGM、効果音が加わることで新鮮に感じられるといい、音声という形によって活字になじみのない人にも作品を届けられることへの感謝を伝えました。

『成瀬は都を駆け抜ける』でシリーズは完結しましたが、「何年経っても楽しんでいただける作品になるといいなと思っています」とコメントを締めくくりました。

 

準大賞『52ヘルツのクジラたち』

町田そのこさん

準大賞には、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)が選ばれました。

町田さんは、子どもの頃から目が悪く、夜になると本を読むことを止められていたため、「どうしたら夜でも本を読めるのか」と考えていたと振り返ります。

さらに自身の育児中にも、夜泣きをする子どもをあやしながら、「こういう時に私に寄り添ってくれる物語はないものか」と感じたことがあったといいます。

そうした経験を振り返りながら、自身の作品がオーディオブックとなったことについて、「誰かの夜の寂しさとか、誰かの夜の孤独に寄り添うものになったんだなと思うと、本当に嬉しい」と語りました。

 

ビジネス書部門大賞『世界は行動経済学でできている』

橋本之克さん

ビジネス書部門の大賞には、橋本之克さんの『世界は行動経済学でできている』(アスコム)が選ばれました。

長年、消費者や生活者に向けたコミュニケーションの仕事に携わってきたという橋本さん。人の心をどう動かし、行動につなげていくのかを考え続けてきた自身にとって、「聞く」というコミュニケーションが改めて注目されていることをうれしく感じていると話します。

行動経済学については、心理学と経済学の双方の特徴を持ち、人間の不合理な選択や行動を明らかにする学問だと紹介。その知見は日々の生活や仕事にも生かせるとして、「この本を聞いてくださった方、読んでくださった方の生活や仕事が、より良いものになれば」と期待を寄せました。

 

準大賞『ゆるストイック』

佐藤航陽さん

準大賞には、佐藤航陽さんの『ゆるストイック ── ノイズに邪魔されず1日を積み上げる思考』(ダイヤモンド社)が選ばれました。

佐藤さんから寄せられたコメントを、担当編集者の種岡健さんが代読しました。

本書のもとになったのは、「何をやってもうまくいかなかった」という佐藤さん自身の数年間の経験だったといいます。

試行錯誤を重ねるなかで、「変えられないものは放っておき、自分で変えられることだけにマイペースに淡々と向き合う」という方法にたどり着き、状況が変わっていったと振り返りました。

「特別な才能や強い意志があったわけではありません。今日の一つを積み重ねた日々が、気づけばここまで運んでくれました」とし、ひそかに筋トレや勉強などに取り組んでいる人たちに、オーディオブックとして長く聴いてもらえればとメッセージを寄せました。

 

audiobook.jp特別賞大賞「集英社OTOコンテンツ」

集英社OTOコンテンツ

オーディオブック文化の発展に寄与し、話題性や新規性を示した作品・取り組みなどを表彰する「audiobook.jp特別賞」。

大賞には、集英社が展開する「集英社OTOコンテンツ」が選ばれました。

「集英社OTOコンテンツ」では、専用Webサイトの開設や「ナツオト」キャンペーンなどを通して、"聴く読書"の認知拡大に取り組んでいます。

授賞式に登壇した集英社の滝口さんは、オーディオブック市場について「まだまだこれから」との認識を示しながら、出版社の役割は「本の面白さを読者に届けること」だと語りました。

その新しい選択肢の一つがオーディオブックだとして、出版社や著者らと協力しながら、今後も市場を広げていきたいと展望を語りました。

 

準大賞『となりの小さいおじさん』

瀬知洋司さん

audiobook.jp特別賞の準大賞には、瀬知洋司さんの『となりの小さいおじさん~大切なことのほぼ9割は手のひらサイズに教わった~』(アルソス)が選ばれました。

瀬知さんは受賞を知った際には「信じられなかった」と振り返り、作品を支持したオーディオブックユーザーへ感謝を伝えました。

さらに、「これが最後にならないように、今後ともいろんな本を書いて、またこの壇上に帰ってこられるように頑張りたい」と、次作への意欲を語りました。

 

菊池雄星賞『銀河鉄道の父』

門井慶喜さん

audiobook.jp公式アンバサダーを務めるメジャーリーガー・菊池雄星投手が選ぶ「菊池雄星賞」には、門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』(講談社)が選ばれました。

岩手県花巻市出身の菊池投手にとって、同郷の宮沢賢治は幼い頃から身近な存在だったといいます。本作では賢治の父・政次郎が描かれており、自身も子育てをするなかで、親としてどう子どもと向き合うのかを考えさせられたとコメントしました。

受賞した門井さんは、少年時代に野球をしていた経験を明かしながら、マウンドで一人戦う投手への憧れを語りました。

さらに野球になぞらえ、出版社やオトバンクのスタッフが「バックで守ってくれた」と表現。担当編集者を信じ、一つひとつの文章を書くことに専念したことで作品を完成させられたと振り返り、「次の本でも読者に貢献できるように頑張ります」と今後への意欲を示しました。

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