相手に9割しゃべらせる英会話術
2013年08月12日 公開 2024年12月16日 更新
ネイティブと話をしてみたいけれど、英語を流暢に話せないから無理……そんなふうに思っている人は多くいます。
実は流暢に話せなくても、もっと言えば自分からはほとんど英語を話さなくても、聞き役に徹することで楽しく会話を続けることはできるのです。
英会話に自信のない人でも即実践可能な、「聞き上手」になるためのさまざまなコツを、日米会話学院などでの豊富な講師経験を活かし、数多くの英語学習書を執筆するデイビッド・セイン氏が紹介します。
※本稿は、『相手に9割しゃべらせる英会話術』(PHP文庫)の内容を、一部抜粋・編集したものです。
話さなくてはいけないという思い込みを捨てる
こんにちは。デイビッド・セインと申します。
大好きな日本という国で英語を教え続けて25年以上になります。
日本のみなさんは努力家で勉強熱心。でも、残念なことに、海外旅行やホームパーティーなどでせっかくネイティブと交流するチャンスがあっても、尻込みしてしまう人が多いようです。
その最大の原因は、「ネイティブと楽しく会話をするためには、英語を上手に話せなくてはいけない」という思い込みにあります。
会話に自信を持てない生徒さんたちに、「英語を流暢に話せなくても、もっと言えば自分からはほとんど英語を話さなくても、ネイティブと楽しく会話を続けることはできるんですよ」と言うと、みなさんとっても驚き、「ほんとかな???」と半信半疑の表情になります。
でも、これは「ほんと」の話。どうするかというと、「聞き役」に徹するのです。
相手の話を聞いて、「へえ」「ほんと!?」「すごい!」「なるほど!」とあいづちを打ったり、時折ここぞというところで短い簡単な質問をするだけで、立派に会話は成立します。それどころか、相手は気持ちよく話すことができるので会話がどんどん弾んでいくのです。
また、自分で「話す」ことに比べれば、相手の話を「聞く」ことはハードルが圧倒的に低いので、英会話が苦手、いまいち自信が持てないという人でも、即実践できます。
「そうはいっても、『あいづち』とか『質問』って初心者には難しいんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。そんな人のために、具体的な会話例を以下で紹介しましょう。これを見れば、「難しくなんてない」ということがきっとわかってもらえるはずです。
□ I went to see a movie last night.
(ゆうべは映画を観に行ったんだ)
■ A movie?
(映画?)
□ Yeah,I went with Amy.
(うん、エイミーと行ったのよ)
■ And?
(それで?)
□ It was Ladies’ Day, so we only paid 1,000 yen!
(そうしたら、レディースデイで1000円だったの!)
■ Great!
(すごいじゃん!)
□ Let’ go together soon!
(今度一緒に行こうよ)
この会話例を見ればわかるように、聞き手が使っているのは中学1年生で習った単語ばかりです。しかも、どれもたったの1単語か2単語。それでも、会話の流れは自然で、相手を気持ちよくしゃべらせています。これなら、英語が苦手という人でも実践できる気がしませんか?
たまに、「話を聞いてばかりだと、『何を考えているかわからない日本人』と思われてしまう」と勘違いしていて、やたらとしゃべる人がいます。
自分の考えを伝えようという心意気はいいのですが、どんなに英語が上手でも、一方的にしゃべり続ける人はネイティブにうんざりされてしまいます。
逆に、ネイティブが「この人ともっと話をしたい!」と思うのは、話をちゃんと聞いてくれる聞き上手の人。これは日本人同士のコミュニケーションと同じことですよね。
「でも、相手の話を聞いてばかりでは、いつまでたっても『話す力』がつかないのでは?」と不安に思った人もいるでしょう。でも、そんなことはないので安心してください。
聞き上手になると、「好かれるのでネイティブと会話する機会が自然と増える」→「リスニング力がつくだけでなく、ボキャブラリーも増える」→「スピーキング力が向上する」というように、とてもよい英語上達スパイラルに乗れるのです。つまり、聞き上手になって相手に9割しゃべらせることは、英会話上達の近道なのです!
この本を作ろうと思ったのは、日本のみなさんに英語で会話する楽しさをもっと味わってほしかったからです。せっかく知識があるのに、それを使わずにいるのはもったいない。「通じた!」「会話が弾む!」という実感(=快感)を、ぜひ味わってください。
You can do it,just try!
David Thayne