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相手の気持ちをきちんと<聞く>技術 -気をつけたい6つの態度

平木典子(カウンセラー/統合的心理療法研究所所長)

2013年11月14日 公開 2024年12月16日 更新

平木典子

《『[図解]相手の気持ちをきちんと<聞く>技術』より》

 

あなたはどんな聞き方をしていますか

 ―― 相手が伝えたいことを理解するために

 自分が伝えたいことは、自分の枠組みで伝えて、その思いどおりに正確に伝わってほしいのですが、相手は相手の枠組みでしか受けとることができません。

理解は相手の枠組みにそって

 お互いに心のなかは見えず、しかも、お互いの枠組みで語り、理解するのがコミュニケーションの現実です。

 だとすれば、お互いの思いを正確に理解し合うために、私たちはとりわけ聞き方に気を配る必要があります。

 相手の理解は、できるだけ相手の枠組みにそって行おうと努力すること。

 相手の伝えようとしていることを自分の枠組みのなかに入れてしまうのではなく、相手の枠組みにそって理解しようと、相手に耳を傾けます。

 相手から「大丈夫」と答えられたときには、どんな調子と態度で言われたかを受けとめて、相手の思いや伝えたいことを理解しようとすることが大切です。

自己表現は素直に、正確に

 逆に、あなたが「大丈夫」と答えつつ、相手の思いやりに感謝したいときは、「心配してくれてありがとう」とつけ加えると、伝わりやすくなるでしょう。

 もし、相手の配慮や言葉かけが重荷になっているときは、もうひと言「一人でなんとかできます。ありがとう」と伝えると、思いが通じるでしょう。

 

「聞く」「聴く」「訊く」の違い

 ―― 「聞く」は受け身的で、「聴く」は積極的な態度

 「きく」には、「聞く」「聴く」「訊く」の3種類があります。

心を込めてきく

 「聞く」は、音が耳に入ってくる、聞こえるという意味です。

 通常は、音が耳から入ってくれは、どんな音なのかをわかろうとします。言葉であれば、その意味を理解しようとします。

 しかし、音や言葉が「右の耳から入ってきて左の耳に抜ける」こともあります。わかろうとしなければそうなるし、わかっても関心がなければそうなります。「右から左」のきき方もできるのが「聞く」なのです。

 「聴く」は、相手の感じていること、伝えたいことを理解しようと耳を傾けることです。

 「聴」という漢字には「心」という文字が入っています。「聴く」とは心を込めてきくことなのです。

 いわば、「聞く」は受動的(受け身的)で、「聴く」は能動的(積極的)です。

「聴く」と「訊く」の関係

 3つ目の「訊く」は、知りたいこと、質問したいことを尋ねることです。自分がききたいことを「訊く」ので、相手が言いたいことを「聴く」とは、方向が異なります。

 「訊く」ことで、相手が話したくても言い出せなかったことが出てくることもあります。ただし、自分の関心だけできいていると、「聴く」がなくなり、追及になります。

 3つの「きく」にはこうした関係があります。

 

なぜ「聴く」ができないのか

 ―― 6つの態度に気をつけよう

 私たちは、どのようなときに「聴く」ができなくなってしまうのでしょう。次の6つの態度に気をつけましょう。

「聴く」を妨げる6つの態度

(1)先入観のある対応
 あなたが「この人はどうせこうだから」と思っていると、相手の今の思いが聞けなくなります。相手はいつもと違っているかもしれません。

(2)無関心な対応
 相手に関心がないとき、相手の思いを軽視・無視して、的外れな反応をしたりするでしょう。

(3)自分の話したいことや興味を優先する
 あなたが自分の世界にいると、相手の話は上の空で話のポイントに反応できなくなったり、相手の話をさえぎったりすることになります。

(4)正解思考/議論のような対応
 「それは、あなたが間違っている」「正しいのはこうだ」という構えでは、つねに正しいか正しくないかで相手の思いを聞くことになります。

(5)「違い」を「間違い」と判断する
 相手が間違っていると思ったときに、「いや、そうじゃないんだよ」とすぐに言いたくなる人がいます。しかし、多くの場合は「間違い」ではなく「(考え方の)違い」です。

(6)アドバイス志向
 上司も親も、親切な人ほどアドバイス志向になりがちです。相手は話をしたいだけなのに、助けを求めていると思い込み、アドバイスをしてしまいます。親身に聞いているようでありながら、ポイントをはずしてしまうのです。

 

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