賢い!現実逃避術~明日できることは今日やらない
2014年07月28日 公開 2024年12月16日 更新
《『ふわっと心が軽くなる 賢い!現実逃避術』より》
知っていると得をする「賢い現実逃避の仕方」
「成功者の多くは、自ら編み出した『独特の現実逃避術』を持っている」
私の経験則から出したひとつの結論です。
成功者に限らず、幸福な人生を送っている人の中にも「工夫された現実逃避術」を使っている人は少なくありません。手法はさまざまですが、それぞれが、つらいことをうまくかわし、自分自身を現実から一時の間逃がしてやることで、精神状態を良好にして、人生を謳歌しています。
この本の中には心の重荷をふわっと軽くしてくれる、ちょっとした知恵、逆転の発想、実践的なノウハウを満載しています。共通しているのは「賢い」という一点です。この一点を押さえることで、現実逃避は生きていくために欠かせない素晴らしい知恵になるのです。ただ現実から目を背けるだけではなく、心の傷を癒し、教養を高め、そしてお金まで稼ぐことができたら、現実を忘れるだけで終わらせず、現実に立ち向かうために必要な活力を取り戻すことができるはずです。そんな夢のような現実逃避術を学べば、その後の人生はグッとラクになるでしょう。
――本書『ふわっと心が軽くなる 賢い!現実逃避術』では「癒しの尼僧」「ポジティブ心理学者」「超合理主義の実業家」「伝説のご隠居」という4人が、時に豪放磊落に、時に繊細緻密に、賢い現実逃避術を語ってくれます。その中から、癒しの尼僧の話を1つご紹介しましょう――
〔癒しの尼僧の教え〕
問題はなるべく先送りにしてみたら?
一番大切なのはあなたの命なのだから
やらなければならないことが、目の前に迫ってくるとき、解決しないと前に進めないとき……その場から逃げ出したくなることってありますよね。時と場合によるけど、私はほとんどのケースは逃げちゃって構わないと思うの。
「待てば海路の日和あり」。今は天候が崩れていても、待っていれば航海にふさわしい穏やかな日和がやってくる。転じて、今は苦しくてもいつかはチャンスが巡ってくるよ、という意味のことわざです。昔の人はいいこと言いますね。
ほら、今は「問題を先送りにするな」とか「今日のうちにできることは今日のうちにしろ」とか、そういうのがデキる社会人だと言われているでしょう。
でも、私はそんなことないと思うんですよ。「今日のうちにできること」の中に「明日でもできること」が含まれているはずです。明日できることは、今日やらなくてもいいじやないですか。そうしないと、いつまでたっても「今日休む」ことができませんもの。ほんとみなさん、よく働いていらっしゃるけど、いつ休むんです? 急かされてばっかりで疲れません? いったい誰に急かされているんでしょう。多分、「会社」とお答えになると思うんですが。
「明日やろう」でいいんですよ。問題は先送り。今日はひとまずリフレッシュして頭をリセット。明日また、きれいな頭でイチから悩めばいいんです。第一、そのほうがよい仕事もできて、結局会社にだって褒められると思うんです。そう、先延ばしにするのは、仕事のためなんです。「忙しいんだ、遊んでいられるか」ではビジネスマンとして意識が低すぎる。仕事のために、まずは遊ばないといけないと考えるほうが、賢いですよ。
もっとも、何でもかんでも「明日やろう」ではいけない。そりゃそうです。目の前に大切な締め切りがあるというのに現実逃避だ、お酒を飲むぞと言っていたら、これは即会社をクビになっても文句は言えません。
大切なのは「優先順位」をつけることなんです。永遠に完全に何もしない、ではさすがに生きていけませんから。でも逆に、やることに優先順位をつけることで明るい未来が見えてくることもある。
たとえば、「面倒だが仕上げなければならない書類がある」「そろそろ部屋の掃除をしないと、足の踏み場がなくなる」などと案件が山積みになって、頭がいっぱいいっぱいになることがありますよね。どれも、自分にとって「やらなくてはならない」ことのように感じられる。早くやらなきゃと焦る。いったいどこから手を付けたらいいものか……。
でも現実には、どの案件も等しく大切だなんてあり得ないと思うんです。いや、絶対に優先順位がつけられるはず。明後日締め切りの書類より明日締め切りの書類のほうが大切ですし、部屋が汚いといっても部屋を丸々きれいにする必要はない、寝起きするスペースだけでも掃除すればずいぶん気分が変わります。
優先順位をつけるうえで、最も大切なことがあります。優先順位の高いところにあえて「ストレスを解消する」という項目を入れるんです。
私たちは遊ばないといけないんです。息抜きしなければならないんです。なぜか。最初に言いましたね。ストレスを解消させることは、ビジネスマンが自分のパフォーマンスを最大限に発揮するために「しなければならない」大切なことだから。気晴らしとか、そんな生やさしいものではないんですよ。これは仕事のためなんです。逆に言うと、息抜きなしに延々仕事を続けなければならないという状況では、どんなに優秀なビジネスマンでも、いつか倒れてしまうことでしょう。
ですから困ったときは、問題を先送りするんです。問題を解決してから休もう、ではダメです。そうして、ストレスが解消した万全の状態で事にあたる。またそこでストレスが溜まるかもしれませんが、仕事を終えればまた発散できるよう、しっかりスケジューリングしておく。そうすれば、「もう少し頑張れば息抜きできるぞ」という前向きな気持ちで仕事に向かえる。こうした行動パターンが習慣として身体にしみついたら、しめたモノです。
一番大切なのは仕事や勉強ではなく、あなたの命なんです。命を守ることよりも大切なことってあるわけないわよね。
ただ要領よくこのことを捉えないと、ただのなまけものになってしまう。
いずれにせよ、目の前の現実から一方的に逃げるのではなく、自分で納得して事態を受け止めたうえで、自分の精神の安定をコントロールしていくことが大切なの。「待てば海路の日和あり」のほかにも、いい言葉があるじゃないですか。「急がば回れ」「短気は損気」。どれも同じことを言っているんですよね。今慌ててやる必要がないことがある。つらいこともそのうちによくなる。焦らずまずは落ち着いて、それからじっくり対処する。これって、めちゃくちゃ有効な現実逃避、いや「現実整理」だと思う。人生には「現実整理」が必要、古人はその真理がわかっていたんですね。
<書籍紹介>
成功者、幸福な人生を送る人はみな、自分だけの現実逃避術を持っている。辛い現実に正面から挑まない、賢い生き方をしてみませんか。
<著者紹介>
五味一男
(ごみかずお)
プロデューサー、演出家、作家。
早稲田大学中退、日本大学芸術学部卒業。1987年、日本テレビ放送網株式会社に入社。2007年、日本テレビ史上最年少で執行役員に就任。
『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』『投稿! 特ホウ王国』『マジカル頭脳パワー!』『速報! 歌の大辞テン!』『ごくせん』『エンタの神様』『24時間テレビ』など、数々の番組をヒットさせ、業界では「視聴率男」「生涯打率No.1」などと呼ばれている。
2013年には「テレビの歴史を創った50人」(小学館)の1人に選出されている。
ヒットを生む「五味理論」はテレビ界を超え注目され、慶應義塾大学、成城大学などの大学の他に「リクルート」「ソフトバンク」「アサヒビール」「バンダイ」など、企業向けの講演や「大前研一のアタッカーズ・ビジネススクール」の講師も務めている。
また『読売新聞』『朝日新聞』『産経新聞』などの新聞でもコラムやエッセイを連載。
著書に「「視聴率男」の発想術」(宝島社)、「ヒット率99%の超理論」(PHP研究所)がある。