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高橋洋一・ブラック企業も減る!アベノミクスの効果とは

2014年11月26日 公開

高橋洋一(政策工房会長、嘉悦大学教授)

 

デフレさえ止めればブラック企業の頭の悪い経営者は淘汰される

 ブラック企業の問題が大きな社会問題となっているが、ブラック企業はデフレを止めることでかなり淘汰することができる。

 ブラック企業とは、賃金を叩いて、長時間働かせて、人を使い捨てのようにして利益を上げている企業だ。正社員を減らし、非正規にして賃金を抑える。不要になったら辞めさせる企業もある。

 しかし、アベノミクスによってデフレ脱却へ向かい、状況は一変した。ブラック企業として話題になっていた企業が、人手不足で閉店に追い込まれているというニュースも出ている。これは当然の成り行きだと思う。

 私はデフレ脱却によってブラック企業が淘汰されると予測し、アベノミクスが始まったころにいくつかの記事に書いた。実際、そのとおりになりつつある。

 ブラック企業というのは、ある意味で、デフレ下において合理的な経営モデルだった。デフレ下では賃金を下げれば下げるほど利益が出る。正社員より非正規にしたほうが利益が出る。ところが、物価が上昇し、インフレになると状況は一変する。アルバイトが集まらなくなり、賃金を上げざるをえなくなる。非正規を中心にしていると、先ほどのニュースの例のように、人手不足で閉店に追い込まれる可能性が高くなり、安定した経営はできなくなる。正規社員にしたほうが安定的に利益を出せる。非正規で賃金を叩いて使い捨てにする企業は、自ずから淘汰されていく。

 ローソンを率いていた新浪剛史氏は、アベノミクスでデフレ脱却が起こると予測して、いち早く「雇用を増やします」「正規社員にします」と宣言した。実際、アルバイトを正規社員にし、賃金も上げている。

 このあたりが賢い経営者と頭の悪い経営者の違いだ。賢い経営者は、デフレという条件と、インフレという条件では、経営行動を変えなければいけないとわかっている。「賃下げ、非正規化」はデフレ下では最適行動だが、インフレ下では逆になり「賃上げ、正規化」が正しい経営行動となる。新浪氏のような経営者はそれがわかっているから、すぐに正規化、賃上げを表明したのである。

 ブラック企業の頭の悪い経営者たちは、デフレという条件下で、単に、賃金を下げ、非正規にして使い捨てていただけなのに、それを自分の経営手腕や能力、努力の賜物だと思い込む。要するに、経済のメカニズムや自社の収益のメカニズムを理解していないのだ。だから、前提条件が変わっても行動を変えられない。デフレに慣れきってしまって、いまだに労働者の使い捨てが、さも正しいことであるかのように思い込んでいる。真の経営能力はないから、「24時間働け」といった精神論でしか経営ができない。

 そういうブラック企業が、デフレ脱却によって淘汰されるのは良いことだと思う。経済のメカニズムを理解している人は、インフレ下で安定的に利益を上げるための最適行動は、「賃上げ、正規社員化」だと知っている。

 

著者紹介

高橋洋一(たかはし・よういち)

嘉悦大学教授

1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科、経済学部経済学科卒。博士(政策研究)。1980年、大蔵省に入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣参事官などを歴任。2008年、退官。著書に、『日本人が知らされていない「お金」の真実』(青春出版社)ほか多数。

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