成功するネーミングは「電車の中吊り広告」から学ぶべき理由
2015年05月20日 公開 2022年12月22日 更新
売り上げが伸び悩んでいる商品が、改名した途端に人気商品になることも珍しくない。ビジネスにおいて重要な「ネーミング」はどのように考えれば良いのだろうか。高橋誠氏が解説する。
※本稿は、高橋誠著『最新のネーミング強化書』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
「お~いお茶」に改名したら、売上げが2倍に
拡販戦略をやった、営業を強化した、広告も打った、それでも売上げが上がらない。こんなときには、いっそのこと、改名してみたらどうでしょう。
レナウンは、靴下を「フレッシュライフ」という名前で売っていましたが、売上げが伸びませんでした。
そこで、通勤快速をもじって「通勤快足」と改名すると、その奇抜さにメディアが殺到し、1年後には靴下の売上げが10倍になりました。今では、アサヒシューズの靴の名前にも採用されています。
伊藤園は、1984年に「缶入り煎茶」という緑茶飲料を発売しました。そして、テレビCMで俳優が口にした「お~いお茶」をヒントに、1989年、「お~いお茶」と改名すると、一挙に大ヒット商品に成長。前年度の2倍の40億円の売上げになりました。
1996年、王子ネピアは保湿ティッシュを「モイスチャーティシュ」の名で発売し、固定客はできましたが、それ以上は増えません。そこで、2004年に高級イメージに変えようと「鼻セレブ」と改名すると、売上げが前年比3割アップ、最終的には4倍になりました。
サントリーは、1987年に缶コーヒー「WEST」を発売しました。しかし、売れ行きが伸びなかったため、1992年に「BOSS」に変えると売上げが2倍になり、10年超のロングセラーになりました。
社名だって、時代に合わせて変えよう
今の社名が、会社の実態に合わないと悩んでいる方も多いでしょう。旧松下電器は、パナソニックへの変更に伴い、全国の看板を変えるだけで200億円もの費用がかかったといわれます。このように、社名を変えるのは大変な作業です。
しかし、実態に合わない社名から生まれる損失は多大です。伝統や老舗の重みは大切ですが、時代に負けない工夫も重要です。会社の将来を見据えて、やはり社名を変えるべきだと感じたら、思い切って社名変更を考えてみましょう。
日本光學工業が二コン、精機光学研究所がキヤノン、石川ペン先製作所がゼブラ、中村製作所がナムコ、山梨シルクセンターがサンリオなど、社名変更の成功例は多数あります。商品名・サービス名、そして社名の変更を検討してみたらどうでしょう。