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そうだ、松下資料館に行こう!

PHPオンライン衆知編集担当

2015年11月20日 公開 2024年12月16日 更新

 

PHPオンライン衆知編集担当

松下幸之助の考え方が学べる「松下資料館」とは

京都駅八条口から徒歩5分、PHP研究所ビルの3階に「松下資料館」がある。松下幸之助の思想・理念にふれられる場として、近年とみに人気が急増している。特に、この地に移転した2年前からは大幅に来館者が増えたという。松下幸之助の人気が未だに衰えないのはなぜなのか。
団体の来館者への講話を終えたばかりの遠藤紀夫館長に聞いてみた。

―― 来館者が、かなり増えているようですね。

 今も化粧品技術者協会の方々約80人にお話をしてきたのですが、最近、松下幸之助の考え方が求められてきているんだなと実感することが多いですね。特に、競争が激しく、すぐに成果が求められがちな時代ですから、この技術をどう生かすか、どう売っていくか、といった作り手、売り手の論理で仕事をしてしまいそうになる。そこで、「最新の技術を活かしてどんなにいいものを作っても社会や人間の役に立たなければだめだ」、「何のために、誰のために仕事をしているのか」という原点を常に考え、相手に喜んでいただくために魂を込めて仕事をしていた松下幸之助の話をすると、前のめりになって聞いてくださるんです。忘れていたことに、はっと気づかれるのでしょうね。

 昨今の日本に薄れてきている「感謝することの大切さ」の話もよくさせてもらいます。今の自分がいるのは社会から恩恵を受けてきたからだ。だから仕事を通してそのお返しをしなければならない。そして、感謝するときには誰に対しても常に心の中で手を合わせる、「お客様の後姿に手を合わせる」という姿勢を、エピソードを交えてご紹介します。そのことが、多くの方に “自らを問い直すきっかけ”となっているようです。

 資料館に来ていただく方には、こうした気づきを通して幸之助ファンになっていただきたいと思っているんです。これをきっかけとして、仕事とか人生をもう一度振り返ってもらう、そういう場にしていただければありがたいと願っています。

 

―― リピーターも多いと聞きますが。

 そうなんです。個人や小グループの方が何度もお越しになるということもあります。また、ここで話を聞いたり展示を見たりして感動された経営者の方が、経営者仲間や従業員を20人、30人と伴って再来館される。その中の方がまた親しい人と再来館される。そのように、数珠つなぎにリピーターが増えてきています。

 そういえば、中国からも多くのリピーターが来られます。ある大学の先生が、「学生は当学にMBA取得のために来るのだが、学問知識を高めれば事業経営に成功できるというものではない。いい考え、正しいものの見方が身についてこそ成功する。それを教えてくれるのが松下幸之助さんだ」とおっしゃって学生を次々につれて来られるんです。その学生さんが経営者になって、やはり経営者仲間や友人、従業員とともに再来館される。ここでも数珠つなぎにリピーターが増えてきています。こうした状況を見ていると、松下幸之助の考え方は現代にも世界にも通ずる基本的なものさしなんだという思いが深まりますね。

 

―― ものの見方・考え方は経営だけではありませんね。

 その通りです。最近は教育界の方、先生方も多く訪れられるようになってきています。教育界の方々には、「徳育」や「物の価値を知る」という話をさせてもらいます。教育水準も上り、技術や知識、科学がどんどん発展していっているのに、はたして社会は良くなっただろうか。人間の良識や物の価値を知る心がなおざりにされていないだろうか。科学技術は素晴らしくてもすさんでいる国もある。そのような国がはたして文明国と言えるのだろうか。良識ある人間、徳のある人間、心ある人間が科学技術を社会に、人のために活かせるようにするのが本当の文明国ではないか、人間としての良識が育っていく国を目指すべきではないか、という問いかけをするんです。松下幸之助も「精神大国への道」を提唱しています。徳の高い人を育て、世界から称賛され尊敬される国を目指そうということですね。それには良識を身につける教育、物の価値を知る教育が大切ではないか。幸い、日本にはいい伝統がある。武士道だとか茶道とか小笠原礼法、江戸しぐさなど素晴らしい精神文化がたくさんある。こうしたものを現代風にアレンジして教育に活用し、精神性の高い人を育てていく。そういったことも提唱していたわけです。皆さん本当に熱心に聞いていただけますね。

 このように松下資料館では講話や展示、資料などで、松下幸之助が本当に大切にしてきたことを伝えています。

 

―― 10月からは新しい試みもされていますね。 

 ご来館いただく方が増えるにしたがって、もっと松下幸之助を深く知りたいという要望が寄せられるようになりました。展示にないことを尋ねられることもしばしばです。

 そこで、松下幸之助のデータベースを整備して、館内のタブレット端末でいろいろ検索できるようにしました。展示室に隣接している「経営図書館」に4台、展示室に3台設置し、自由に使っていただいています。利用される多くの方が、かなりの時間その場所から離れられないですね。うれしい限りです。

 年々来館者数が右肩上がりに伸びていますので、一人でも多く、スムーズに気持ちよくご利用していただけるよう、これからも館内の展示をより充実させていきたいと思っています。

 

経営セミナー「松下幸之助経営塾」
松下幸之助の理念・哲学を学ぶ、経営者・後継者限定の研修セミナーです。毎回の特別講師による講義と経営者相互の討議、松下資料館での研修など、充実した10カ月プログラムで、経営の志を磨きます。

経営セミナー 松下幸之助経営塾

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