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生き方

人生の最期をイメージして人生全体を考えてみる~いつも幸せな人の習慣

若尾裕之 《未来デザイン&マーケティングコンサルタント》

2016年03月18日 公開 2024年12月16日 更新

人生の最期をイメージして人生全体を考えてみる~いつも幸せな人の習慣

PHP文庫『幸せは心のなかで、あなたの気づきを待っている』より

 

人間の死亡する確率は100%

「人間の死亡する確率は何%ですか?」と質問されたら、「100%に決まっています。当たり前ですよ」と答えるでしょう。

人生は必ずいつかは終りの時を迎えます。

しかし残念ながら、自分に人生の最期があることを日々意識して生きている人はほとんどいません。特に若いうちは、人生が有限だという意識など持っていないでしょう。

私は45歳の時に重度の急性肝炎になり生死の境をさまよいました。大学病院の救命救急センターのベッドの上で、もうろうとした意識のなかで、人生が走馬灯のように流れました。それを臨死体験と感じ、「ああ、これで死ぬんだ。短い人生だったな」と思いました。

私自身もそれまでは人生が無限にあるような気持ちで過ごしてきたように思います。その時、人生の終わりというものは突然訪れるのだということを知りました。そして、奇跡的に助かった後、私の人生観は大きく変わりました。

私のように死に直面した人間でなければ、なかなか人生が有限だという意識はもてないでしょう。もう一度命をいただいた私はそれを境に「人生の最期をイメージして人生全体を考える重要性を伝える」ことを天命と思い、未来デザインを提案する活動をしています。

人間の死亡確率は100%。早いか遅いかだけで、いつかは人生の最期の時を迎えます。あなたは、人生の最期をどのように迎えたいでしょうか?

自分自身に対して後ろめたい生き方をしてきた人は穏やかな最期を迎えられません。自分を大切にしない人は他人のことも大切にできません。まずは、自分が幸せになることです。

鎌倉時代に曹洞宗を開祖した道元は「志のある人は、『人間は必ず死ぬ』ということを知っている。志のない人は、『人間は必ず死ぬ』ということを本当の意味で知らない。その差だ」と言いました。

人生の最期をイメージすることは、死を考えるというよりもむしろ、それを前提にした前向きな生き方を考えることなのです。悩みを抱えている人は多いですが、もしも人生の最期があることを前提に生きられたら、意識は劇的に変わります。つまり、人生の最期を考えることは、生きることを考えることになるのです。

「エンディングノート」という言葉を聞かれたことはありますか? 元々は人生の最期に備えて自分の希望を書き残すためのものでしたが、これまでの人生を振り返り、今の自分のことを知り、これから何をしたいのか「生き方」を考えるために大変便利なものです。エンディングノートに書くことで、今まで努力して積み上げてきたものを見つめ直し、これからの人生をより豊かなものにするための心の整理がしやすくなります。

あなたは人生の最期の瞬間に何を思うでしょうか? 後悔することがあれば、人生すべてを悔やむでしょう。「いい人生だった」と思えたら、最高の幸せではないでしょうか? 最期に後悔しないように、ありのままの人生を生きたいものです。


著者:若尾裕之

株式会社未来総合研究所代表取締役社長、未来デザインコンサルタント、立教大学経営学部兼任講師。1961年生まれ。立教大学経済学部卒業後、日産自動車などの企業に勤務。日産自動車宣伝部時代は、現・大リーガーのイチロー選手を初めてテレビCMに起用した「イチロ・ニッサンキャンペーン」など、多くのヒットCMを担当。現在、未来デザインコンサルタントとして、人生の最期をイメージした幸せな行き方を提案。ライフデザインにおける結婚の重要性を伝えている。恋愛・結婚について造詣が深く、人と人との出会いのコミュニティ作りのため、多くの交流会、パーティー、セミナーなどのイベントもプロデュースしている。『47歳からのエンディングデザイン』(角川フォレスタ)など著書多数。コメンテーターとしてのマスコミ出演も多数。

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