想像力不足=無意識行動症候群
ビジネスシーンに、想像力が必要となる場面はよくある。
会社の上司から「取引先と会食をするのでレストランを予約しておいてくれ」と指示をされたとき、なんとなく一般的に良さげなお店を"食べログ"検索してしまう。
もちろん、それも悪くはないし、取引先との会食といっても、必要以上に接待を意識させることは相手にとって好ましくない場合もある。しかし、理想は一般的に良い店を予約することではない。相手にとって良い店を予約することだ。
「相手のニーズを満たし満足させる」ためには、まずは相手のニーズを知らなければならない。
相手のニーズを"満足レベル"ではなく、"感動レベル"で満たすためには、さらにその個々のニーズの重みづけも必要になるに違いない。この「どのレベルでニーズを満たすのか?」といった視点も、誰も教えてくれない、主体的に設定しなければならない前提課題の1つだ。
・相手は誰か?
・接待なのか、単純な打ち合わせなのか?
・相手の好き嫌いは何か?
・相手にとって便利なお店はどのエリアか? 等々...
"良い店を予約する"、ということは、この場合、"会社の上司の目的を果たすために、必要となる条件を満たし、相手にとって最適な店を予約する"ということに他ならない。最適を目指そうとすると、レストランの予約を取るだけでも事前に把握しておくべきことは意外と多いのだ。
受験勉強においても、無意識に数学や物理の公式を暗記するだけでは「応用がきかない」のと同様、日常生活でも無意識な過去の繰り返し対応では応用のきかないことが多い。
したがって、思考力を活かそうと考えるとき、「何のために、どの場面で意識的に想像力を働かすべきなのか?」という思考すべき場面とポイントを正しく認識するための想像力(気づき)が必要となる。
私たちは知らず知らずのうちに無呼吸症候群ならぬ無意識行動症候群に陥っていることが多い。
特に、アカデミックな勉強と異なり、詳しい「前提条件」や「命題」が提供されない日々の日常生活や仕事の現場では、自ら"主体的に前提を把握し、その前提から考えられる問題そのものを再定義し、仮説を設定したうえで、解決に向けた行動をとる"ということを意識的に実践できるかどうかが、成果に結びつく大きな分かれ道となる。