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そのPPM・プロダクトポートフォリオマネジメントの使い方、間違っています!

堀公俊(組織コンサルタント)

2016年04月14日 公開 2016年04月19日 更新

そのPPM・プロダクトポートフォリオマネジメントの使い方、間違っています!

PHPビジネス新書『フレームワークの失敗学』より一部抜粋編集

 

フレームワークは魔法の杖じゃない!

問題解決と意思決定を加速するフレームワーク

フレームワークの失敗学世間にフレームワークと呼ばれるものは無数にあります。

世の中を人/組織/社会と集団の大きさで分けるのもそうですし、現在/過去/未来と時系列で分けるのもフレームワークです。ジャンルを問わず使えることから「一般的フレームワーク」と呼びます。

あるいは、応用分野に特有のフレームワークもあります。たとえば、政治の世界では立法/行政/司法、化学の世界では個体/液体/気体が使われています。いずれも、その分野を学んだり実践したりするのに欠かせないものです。

そんな中、経営、ビジネス、仕事を考えるのに役立つのが「ビジネス・フレームワーク」です。

ビジネス・フレームワークは、経営学者や経営コンサルタントがビジネス上の思考ツールとして提唱してきたものです。戦略立案、マーケティング、問題解決、アイデア発想、意思決定、マネジメント、組織開発、コミュニケーションなど、仕事のありとあらゆる分野にわたり膨大なフレームワークが考案されています。

フレームワークを使えばスピーディに要領よく考えることができ、問題解決や意思決定が加速できます。必要な視点を漏らさず、網羅的に検討できるようにつくられており、合理的な答えが見つかりやすくなります。言語や文化を問わず、世界中の誰とでも同じ土俵で話し合うことができます。

フレームワークを身につけることは、ビジネスの基本を身につけることだといっても過言ではありません。使わないのはどう考えても損です。

 

PPMで、自信を持って提案したのに怒られた

そんな便利なフレームワークですが、一般に普及するにつれて笑えない話があちこちから聞こえるようになってきました。失敗事例を紹介して、フレームワークの使い方を考える手掛かりにしてみましょう。

ある中堅電子機器メーカーで長らく製品開発をやっていたA君。晴れて経営企画部へ異動となりました。会社の中期経営戦略を立案する大役を仰せつかり、張り切ってMBA系のビジネス書で猛勉強を始めました。

そんな中、A君が注目した戦略フレームワークがPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)でした。ボストン コンサルティング グループが開発した古典的なフレームワークです。

自社の事業や製品を、市場の成熟度(市場成長率)と競争優位性(相対シェア)を元にマッピングをして、金のなる木、花形、問題児、負け犬に振り分けます。それを手掛かりにして、事業の選択と集中や各事業で生み出す利益の振り分け方を検討するものです。

A君が注目したのには理由がありました。

創業以来60年、営業が求めるままに製品ラインの拡大を続けてきましたが、市場環境の変化に対応すべく整理が必要になってきたからです。PPMに光明を見出したA君。早速、詳細な分析を進め、いくつかの製品の整理縮小と新規事業へのさらなる投資を訴える提案書をつくりました。

ところが、自信満々で上司にプレゼンしたところ、「はあ? 何を考えているんだ」とケンもホロロ。「ですから、PPMのセオリーで言えば……」と反論しようとする声に上司がかぶせてきました。「お前は、会社を何だと思っているんだ? それで本当によくなると思うか? 一から勉強して出直してこい!」。

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著者紹介

堀公俊(ほり・きみとし)

組織コンサルタント、日本ファシリテーション協会フェロー

堀公俊事務所代表、組織コンサルタント、日本ファシリテーション協会フェロー。1960年、神戸生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーにて経営企画やマーケテイングに従事した後、1995年より組織開発、教育、まちづくり、市民活動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。2003年に有志と共に「日本ファシリテーション協会」を設立し、初代会長に就任。関西大学や法政大学で非常勤講師を務める。現在は、講演や執筆活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に尽力している。主な著書に、『ファシリテーション入門』『ワークショップ入門』(以上・日本経済新開出版社)『「ホンネ」を引き出す質問力』『今すぐできる! ファシリテーション」(以上、PHP研究所)などがある。

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