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体を温めて病気を治す

石原結實(医学博士/イシハラクリニック院長)

2011年07月23日 公開 2022年09月15日 更新

体を温めて病気を治す

冷え性と自覚している人以外にも、「体の冷えている人」は多くいます。

体が冷え、体温が低下すると、代謝が下がるだけでなく、さまざまな病気が引き起こされてしまいます。

テレビでもおなじみ、最前線の自然療法を研究する石原結實氏が、冷えをとり病気を治す力を促すのための様々な方法を伝授します。

※本稿は石原結實著『体を温めて病気を治すレシピ100』より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

現代人は体が冷えている!?

―― 体温がたったの0.5℃下がるだけでも、病気への危険が増します

冷え性と自覚している人以外にも、「体の冷えている人」は本当に多いのです。次の項目をチェックしてみましょう。

<体チェック>
□おへその下に手を入れると冷たい
□目の下にクマがある
□少し動いただけでも汗をかく
□よく足がむくむ
<生活チェック>
□運動不足である
□夏は冷房のきいたところで過ごす
□入浴はシャワーですませる
□水分を多く摂るように努めている
□白っぽいやわらかい食べ物を好む

思い当たる項目があった人は、体温が低くなっている可能性があります。毎日、熱を測る習慣をつけるとよいでしょう。午前10時に36.5℃より低い体温だったら、要注意です。

では、体が冷え、体温が低下すると、体はどのように変化するのでしょうか?

冷えた体内では血液の循環が悪くなり、新陳代謝が低下します。すると、老廃物などが排出されずに溜まるため、血液が汚れます。そうすると、免疫力が低下し、さまざまな病気が引き起こされます。

 

生活を見直し、体を温めましょう!

―― 体を冷やさないためには生活の改善が必要です

●水分の摂りすぎをやめる
「水を多く摂ると血液サラサラになる」というのは誤りです。摂りすぎた水分は、排泄されずに体内に溜まり、体を冷やし、血液の流れを悪くします。
(図は、「冷え」と「水」と「痛み」の関係を表したものです)
「冷え」と「水」と「痛み」の関係

●運動をして筋力をつける
体温の40%以上を筋肉が作り出します。その筋肉の70%は下半身にあるので、下半身を鍛えることが体温の上昇には不可欠。手軽なウォーキングやスクワットなどから始めてみましょう。

●湯船につかって体を温める
湯船につかると、血管が拡がり、水圧で血管やリンパ管が刺激され、血液の流れがよくなります。その結果、老廃物が排出され、血液がきれいになるのです。夏でも湯船につかりましょう。

●食べすぎない
食べすぎないことも大切です。食べすぎの弊害は、驚くほどあります。
1)消化器官に大きな負担をかける。
2)消化不良によって、腸に発生する不消化物質・老廃物を血液が吸収し、血液が汚れる。
3)消化器官に血液が集中し、他の筋肉、脳など産熟の多い臓器への供給が減るため、冷えて病気になりやすい。
病気の予防には、生活を見直し、体を温める食生活をすることが大切です。

 

漢方医学の考えに基づく食生活を

―― 病の症状は、体が血液の汚れをきれいにしようとする反応

●食事で体を温め、ガンを防ぐ
漢方医学では、病気の原因はすべて「血液の汚れ」とされます。この説は、全身の細胞に栄養を供給するのが血液だと考えると納得できます。血液が汚れると、体は汚れから身を守ろうとして反応を起こし、それがさまざまな病気となって現れるのです。

また、漢方医学では、人間の体質も食材も、「陰性・陽性・間性に分類できる」としています。陰性は"冷"の性質、陽性は"温"の性質、間性はどちらでもない性質です。

冷え性である陰性の人は体を温める陽性の食材を、体が温かい陽性の人は体を冷やす陰性の食材を摂ることによって、体を陰・陽のどちらにも偏らない、バランスのよい状態に持っていくことができるのです。

陰性の食材は、調理方法や食べ方を工夫すると、陽性に転換させることができます。陽性の食材と一緒に食べる、加熱する、塩分と圧力を加える(例:キュウリを漬物に)、発酵させる(例:緑茶を紅茶に)、体が温まっているときに食べる、などが代表的です。

さらに、日本人に多いガンの予防に次の食材を積極的に摂ることも大切です。

有効な食材の代表は、ニンニク、キャベツ、大豆、生姜、人参、セロリ。次に、茶、玄米、全粒粉小麦粉、玉ねぎ、ブロッコリー、芽キャベツ、柑橘類。その次が、バジル、メロン、キュウリ、アサツキ、ジャガイモなどです。

●病気を防ぎ、治す力をつける食事
ここで、私の提唱する「石原式基本食」を紹介しましょう。現在、問題になっているメタポリック症候群は、明らかに「食べすぎ病」です。

また、満腹になると、血液中のタンパク、脂肪、糖が増え、それを食べる白血球も「満腹」になり、病原菌やガン細胞を食べなくなり、「免疫力」が低下します。

逆に、空腹の時は、血液中の栄養素も低下し、白血球も「空腹」になるので、病原菌やガン細胞をよく貪食し、免疫力も高まるのです。よって「メタボ」を治したり、種々の病気を防ぐために、必要なことは、一日に一回は空腹の時間を作ることです。

腹八分にして、一日三食でもよいですが、遅くまで働いた後に「飲食」される方々は、朝、食欲のないことも多いでしょう。また、朝は、口臭、目やに、濃い尿...等々、血液の汚れを排泄する時間帯でもあります。その時、食べると排泄が止まり、血液が浄化できません。

こうした理由で朝食は、胃腸に負担をかけず、排泄を保ち、しかも、エネルギー源の糖分、水分、ビタミン、ミネラルを含んだ生姜紅茶や人参・リンゴジュースの飲用をすすめるのです。昼はそばなど軽いもの、夕食はアルコールを含めて何でも可というのが、「石原式基本食」です。

 

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