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生き方

あせらず、あわてず、前に進む。

塩沼亮潤(慈眼寺住職/大峯千日回峰行大行満大阿闍梨)

2011年10月20日 公開 2022年09月29日 更新

 

何事にも執らわれない

私はその嫌いだった人が好きになる経験によって、大げさに言えば、人生が180度好転しました。今までの人生の行はこのためにあったのだ、と気づきました。

お山の中での厳しい修行だけが行ではありません。この世に生まれて、そして最後の一息まで人生の行は続きます。何事にも執らわれずに、日々自分の道を淡々と、真理に向かって歩いて行く。

それだけのことなのに、なぜ迷いが生じるのか。人間は私をはじめ誰でも気ままわがままですから、どうしても自分の理想通りにならないと、そのことに執らわれてしまいます。何かに執らわれていると、人生がとんでもない方向に行ってしまう場合がある。

自分が人生の悟りを目指す一艘の小舟だとします。真理の方向に向かって全速力で進んでいきたいのに、たとえば「あの人が嫌い」というたった一つの執らわれがあったとすると、重い何かを引きずって進んでいるのと同じことになります。

たった一つの執着によって、自分自身の人生が意図しない、つまらない方向へ進んでいく場合があるから気をつけなければなりません。あらゆる執着を、忘れて、捨てて、許すこと。それが自分の人生を、幸せに生きるために、とても大切なことです。

どんな人に対しても、恨みや憎しみの心を持たないこと、もし持ってしまったなら、今日より明日と、少なくする努力が自分の人生に幸福をもたらします。

 

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