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フィンテックだけはない。X-Tech(クロステック)がコンテンツの世界に与える影響とは

山口哲一(エンターテック・エバンジェリスト/音楽プロデューサー)

2018年05月28日 公開 2024年12月16日 更新

フィンテックだけはない。X-Tech(クロステック)がコンテンツの世界に与える影響とは

 

医療も農業もテクノロジー変革が進む。エンタメも同じままではいられない

仮想通貨の話題が席巻するようになってフィンテック(FinTech=金融とテクノロジーの造語)という言葉が注目されましたが、それだけでなく、メドテック(医療)、アグリテック(農業)、ガバテック(政治行政)、アドテック(広告)と何にでもテックがつくような環境になってきました。

テクノロジーの進化であらゆる産業で本質的な変化を伴うイノベーションが起きているX-Tech(クロステック)の時代がやってきています。

X-Techの時代になった背景としては、コンピュータの処理能力の著しい進展とセンサーの軽量化、コモディティ化(一般、大衆化)、SNSの情報インフラ化などが挙げられると思います。

農業で言えば、畑の中に1mずつセンサーを置くようなことが可能になり、天気や湿度、苗の成長状況を遠隔でも把握でき、それによって稲作の自動化も実現できるというようなことです。その情報に基づいて、いつ水をまくか、などが自動管理できるようになります。

人工知能(AI)の関連のニュースが毎日のように飛び込んできます。SNSによるユーザーデータの可視化、ビッグデータ化はより一層進み、その膨大なデータを解析する機械学習の飛躍的な向上が、技術の進展スピードをさらに加速させています。

技術の進展が、現在進行形で社会と生活に大きな影響を与えています。これは人類史から見たら歴史的な必然なので、元に戻ることはありません。

コンサバティブな人々は、昨日までの状況が明日以降も続くことを願っています。
その願望から「一時的な現象だと思いたい」「自分の仕事には関係ないはず」と考えがちですが、すべての分野で不可逆的に起きておきます。企業の経営層が「自分の定年まではできるだけ変えずに」と思っているとしたら、犯罪的な行為です。

私の尊敬する多摩大学大学院教授の田坂広志さんが「未来は予測できないが、予見はできる」と言われています。

阪神が今年優勝するかどうかわからないが、スポーツ産業がどういうように変化していくかの方向は予見できるという趣旨だとこの言葉を私なりに解釈していますが、まさに今そういう時代になってきています。

私たちがX-Techの時代に生きている認識が必要で、その認識から先を予見していかなければいけません。

だからこそ、私は音楽プロデューサーだけでなく、エンターテック・エバンジェリストという肩書を名乗っていますが、ここで考えたいのが、X-Techの時代に「エンタメビジネス」がどう変化していくかということです。

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もはや一方的な「プロモーション」ではコンテンツは売れない

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