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50代から抜擢される人、されない人の違い

2018年07月27日 公開

江上剛(作家)


 

五十路の壁(4)「評価の壁」の乗り越え方

50代から抜擢される人──左遷をバネにした池上彰さん

危機に強い人がいる。こういう人は変わり者が多く、平時にはあまり評価されない。平時は誰でも何とかやれるから特段に強い人は不要なのだ。

どちらかと言うと無難な人がいい。だから平時にもかかわらず、50代から長年勤務した会社で突然抜擢されるという夢みたいなことは期待しない方がいい。

平時がずっと続いていたり、好景気で業績好調だったりする状況なら、順当な昇進が最適だ。順送りの昇進が社員にも安心感を与える。異例の抜擢は社内に波風を立てるだけだ。もしそんな状況が不満なら自ら外に飛び出して起業するか、独立する方がいい。

池上彰さんから直接聞いたことがある。彼がNHK社会部に在籍していた際、社内で人事対立が発生した。部長と部下たちとの対立だ。その結果、反部長派だった池上さんは、決まっていた7時のニュースのキャスターから「週刊こどもニュース」のキャスターに鞍替えさせられた。

相当、腐ったらしい。しかし、気持ちを切り替え、「週刊こどもニュース」のキャスターになった。「子どもたちにいかにニュースを分かりやすく伝えるか」に徹しようと考えたのだ。

彼の努力は実を結び、こどもニュースは分かりやすいと評判になり、大人たちやマスコミの人たちが見るようになり、今日のようにニュースを分かりやすく解説する池上さんが誕生したのだ。

きっと池上さんは危機に強いタイプなのだろう。だから平時のNHKを飛び出さざるを得なかった。しかし、そのおかげで大きくブレイクできたのだ。

チャーチルも「危機に強く、平時に弱い」男だった

富士フイルムの古森重隆会長・CEOも危機に強いタイプだろう。2000年に社長に就任した際、超優良企業である富士フイルムは危機に瀕していた。カラーフィルムの売上げが急減し始めたのだ。売上げ、利益の大半を占めるカラーフィルムがなくなると、富士フイルムは倒産する。デジタルカメラの影響だ。古森さんは「フィルムがなくなる。鉄鋼会社から鉄がなくなり、自動車会社から自動車がなくなればどうなるか!」と危機感がない社内に檄を飛ばし、医薬化粧品分野へ進出して大成功する(参考・拙著『断固として進め』徳間書店)。

富士フイルムは危機に強い古森さんがたまたま社長になったおかげで、危機を乗り越えることができたのだ。

政治家で言えば、イギリスのチャーチルは変わり者で、もはや忘れられた人物だった。しかし、イギリス政界でただ一人「ヒットラーは危険だ」と言い続けた結果、ヒットラーとの戦いに勝ち、英雄になった。でも平時になると選挙に負けてしまった。
 

「KY人材」が出世する?

このように、危機に強い人材は危機にならないと力を発揮できない。しかしあなたが危機に強い人材だから平時には評価されていないのか、それともただの凡庸な人材だから評価されていないのか、あなた自身にも分からない。もし、あなたが「変わっている」と評判で、それを直したら出世するのにと思われているなら会社が危機になるまで待つしかない。平時なら抜擢されることはない。

50代から抜擢される人材とは、とにかく「変わっている」人材、即ち「KY(空気が読めない)」人材なのだ。協調性がなく、「敵が千万人と雖(いえど)も吾往(われゆ)かん」という勇猛果敢、独立独歩な人材。要するに「扱いにくい」人材だ。こういう人材は危機になれば抜擢される。

私は旧第一勧銀(現・みずほ銀行)に勤めていた際に、総会屋事件の処理にあたった。その後、暴力団等から不良債権を回収し、銀行を立て直すために、出世は遅れていたが、扱いにくいと評価されている人たちを10人抜擢し、重要なポストに就いてもらった。彼らは、銀行の危機的状況をむしろ楽しいと思い、暴力団だろうが、役員(暴力団と同列に並べて申し訳ない)だろうが、目の前の敵を見事に蹴散らしてくれ、不良債権の回収、銀行の立て直しに力を発揮したのだ。

彼らは私に「死んだっていい。いい会社にしましょう」と言ってくれた。今でも彼らに感謝している。

あなたが50代になってたいして出世していないなら、会社は平時なのだろう。しかし、危機に気づくのは経営者の仕事だ。経営者に危機感がなければ、あなたが抜擢されることはない。あなたは〝いつか俺のような変わり者が評価される時が来る〟との信念を抱き、じっと待つしかないだろう。

※本書は江上剛著『会社人生、五十路の壁』より、一部を抜粋して掲載したものです。



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