「人の悩みの多くは"自己肯定感の低さ"が原因」というのは、心理カウンセラーの大嶋信頼氏。だが、多くの人はなかなか自己肯定感を高めることができない。
その理由の1つが、過去の自分に縛られてしまうこと。だが、それはごく簡単な方法で解消できるという。著書『「自己肯定感」が低いあなたが、すぐ変わる方法』より、自己肯定感を高めるための方法を教わった。
※本稿は、大嶋信頼著『「自己肯定感」が低いあなたが、すぐ変わる方法』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。
「美化される記憶」と「嫌なままの記憶」は何が違うのか?
アメリカで「心の傷」を専門に研究している博士と話をする機会があって、その博士が「記憶って時間とともに美化されていくんですよね!」と教えてくださいました。
博士のお祖父さんは、第二次世界大戦のときに日本軍と戦って捕虜にされてしまって、終戦直後は「日本人め〜!」と日本人のことを嫌っていたそうです。
それが時間と共に記憶が美化されていき、やがて「日本人は戦友だ!」というような感じに変わっていったのです。
じつは、私にもそんな経験がたくさんあることに気づかされました。かつて、嫌いだった物理学の教授がいたのですが、現在では「あの先生のおかげで今の自分がある」と感謝しているおかしな自分がいます。
教授のことを嫌っていたときは、「自分は物理の勉強が苦手でまったくできない!」と自己肯定感が低かったのに、教授の記憶が美化されていくにしたがって「自分は物理が好きなのかもしれない!」と自己肯定感が高くなっていることに気づかされるんです。
あるとき、カウンセリングの中で「あれ? なんで20年前の嫌な記憶が美化されていかないんだろう?」と疑問に思ったケースがありました。
20年の時間の経過とともに記憶は色あせて、淡いセピア色になって美化されるはずなのになんで?と思っていたら、「昔の物が部屋いっぱいにある!」というお話を聞いて「なるほど!」とあることに気がつきました。