「余命3年宣告」で分かった"お金 vs. 時間"の勝者【幡野広志】
2018年11月01日 公開 2018年12月17日 更新
「苦労」を販売する大人がつくったキャッチコピー
末期ガンの人はよく、「余命1年になったらこれをやりたい」とあれこれ言うけれど、本当に余命1年になったら、まず体がしんどくて、動けないだろう。
なおかつ、まわりの人が「とにかく治療をして1日でも長く生きて」と、ベッドにしばりつけようとするだろう。
だから息子には、何度でも言いたい。
やりたいことは、やれるうちにやっておいたほうがいいと。
そして、どんな状況になっても、やりたいことはやったほうがいい。
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」とよく言われるけれど、あれは苦労を販売する側の大人がつくったキャッチコピーだと思う。
苦労なんて負債を、なんで若いうちにわざわざ買わなければならないのだろう?
僕は息子に苦労を買わせるくらいなら、お金をあげることで、自分でたくさんの経験をしてもらいたい。
そしてイヤというほど失敗もしてもらいたい。100万円あげたら、あとは何があっても口も手も出さないから、失敗は自力で解決してもらいたい。
そうやって若いうちに「失敗しても挽回できるし、許される」という経験をすれば、チャレンジを恐れない大人になるだろう。逆にいうと、苦労だけ買わせて経験をさせず、失敗を許さなかったら、縮こまった大人になってしまうだろう。
夏休みのアルバイトでしでかす小さな失敗より、お金と時間を自由に使って1人で行動したときの大きな失敗が、息子を強くしてくれると信じている。
(本稿は幡野広志 著『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)より一部を抜粋し、編集したものです)