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社会

実は"識字率"が低下している? フェイクニュースを見抜けない日本人

一田和樹(作家、元IT企業役員)

2018年11月27日 公開 2023年02月24日 更新

フィルタバブルと政治フィルタ、機能的識字能力フィルタが届けるフェイクニュース

フェイクニュースを巡る問題には、さまざまなフィルタの影響でフェイクニュースが読み手に届きやすいという問題もある。

有名なフィルタとしては、フィルタバブル(フィルターバブル)がある。ネット利用者が自分が見たいと思うものだけを見る/だけしか見えないようになる現象を指す。

多くのネットサービスは利用者の傾向を分析し、好みのものを中心に表示している。そのため関心のないものや好みではないものは表示されなくなってゆく。

ある面便利だが、それぞれの利用者がそれぞれの嗜好に合ったものを見ているので、同じようにネットを利用していても見ているものは異なり、同じ事実や事件についても好きな論調のものしか表示されないのでどんどん偏ったものとなる。

このフィルタが存在するおかげで、一度現政権支持の嗜好を持つと現政権に都合の悪い情報は表示されなくなり、逆に政府を批判する野党や団体の悪い面を強調した情報が入るようになる。さらに現政権支持の意思が強くなる仕掛けだ。

機能的識字能力の低い人が読みやすくわかりやすい情報を見ようとすれば、当然そこには検証記事などは表示されなくなる。

政治フィルタも存在する。これは国家が検閲やブロッキングを行い、コンテンツを規制することである。中国の金盾(グレートファイアウォール)が有名だ。

大規模なブロッキングやコンテンツのチェックが行われており、そのおかげで中国国内では世界で使われているツイッターなどのSNSを使うことができない。サーチエンジンの検索でも特定の言葉については検索結果が表示されないようになっている。

2018年、日本でも海賊版サイトへの対策としてブロッキングが検討され、実施寸前までいった。ネットにおける言論の自由を守るために活動している世界的に有名なアメリカの組織、電子フロンティア財団(EFF)はブロッキングには効果がなく、表現の自由を侵害するだけであると抗議した(『EFF to Japan: Reject Website Blocking』KATHARINE TRENDACOSTA,2018年7月13日)。

こうしたフィルタを通して表示されるコンテンツは、「自分の好きなものばかり」、「単純でわかりやすい」、「現政権が許容できる」ものばかりになる。

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