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なぜ「残業を強制する上司」は"言葉"を知らないのか

佐々木常夫(元東レ経営研究所社長)

2019年02月20日 公開 2024年12月16日 更新

なぜ「残業を強制する上司」は"言葉"を知らないのか


(写真:長谷川博一)

<<40代は“長くて早い10年”――元・東レ経営研究所社長の佐々木常夫氏は、自身の40代をそう語る。

そして、いつも何かに追われているような感覚であった40代真っただ中にいるときはわからなかったが、会社員として定年まで勤め上げた今、振り返ると「あのとき、この習慣が自分を成長させてくれた」と気づくことがいくつもあるという。

同氏の著書『40歳からの人生が劇的に変わる習慣』では、エピソードを交えながら、40代でやっておくべきことについて語っている。本記事では、その中の1つを紹介する。(協力:塚田有香)>>

※本稿は、佐々木常夫著『40歳からの人生が劇的に変わる習慣』(PHP研究所)より、一部を抜粋編集したものです。
 

「自分」から「他人」へ意識を変える

私は「ビジネスパーソンにとって、40代は円熟期である」と考えています。

社会に出て約20年が経ち、会社人生もちょうど折り返し地点を過ぎる頃です。努力して経験やスキルを積み重ね、自分を成長させてきた人は、そろそろ一段上のステージへ出ていく時期を迎えることでしょう。

つまり、多くの人は40代で管理職となり、組織の中で責任あるポジションに立つことになります。

そこで、ぜひ知っておいてほしいのは、ここで従来の思考や意識を大きく転換する必要があるということです。具体的には、「自分がどう成長するか」ではなく、「人をどう動かすか」を考えることが求められます。

管理職になるということは、野球でたとえるなら選手から監督になるようなものです。選手にはピッチャーやバッターとしての技術や能力が求められますが、監督に期待されるのは、選手たちを動かして試合に勝つことだけ。極端なことを言えば、監督自身は野球のプレイヤーとしてのスキルがなくても構いません。

もちろんビジネスと野球は違うので、管理職にも仕事のスキルは必要です。しかし、「人を動かし、組織として結果を出すこと」を期待される点ではまったく同じと考えていいでしょう。

40代になったら、実務をこなすプレイヤーとしてではなく、管理職として必要な「人を動かす力」を鍛えるという意識を持たなくてはいけません。
 

プレイヤーを卒業し管理職としての力を伸ばす

20代や30代の頃は、優秀な上司や先輩の仕事のやり方をマネしながら、プレイヤーとして自分の力を伸ばすことだけに注力すれば良かったはずです。

私は常々、若い人たちに「プアなイノベーションより、優れたイミテーションを」とアドバイスしています。若い時は知識や経験が不足しているので、自分のオリジナルにこだわったところで、結局はムダや失敗が増えるだけだからです。

しかし40代になれば、すでに実務の経験は十分だし、自分なりの仕事のやり方や行動パターンも決まっています。ここから先は誰かのマネではなく、独自のものを創造したり、新たな付加価値を生み出していかなければ、周囲の期待に応えられません。

40代は、イミテーションからイノベーションへ脱皮する時期でもあるということです。

このように、管理職の仕事はこれまでの延長線上でこなせばいいものではなく、新しい世界と向き合うつもりでやるべきものです。40代は円熟期であると同時に、大きな思考の転換を求められる時期だということを心得ておいてください。

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