若いリーダー層に任せて築く。「物件」ではなく「人」にフォーカスした不動産事業
2019年04月26日 公開
「旅に出る」新たな感動、刺激が大切
――「内的動機で世の中を明るく照らせるような人間」ですか。
堀口 そうです。言い換えると「人に尽くし、喜ばせるのが好きな人」がリーダーとしてふさわしいのですが、一方で、「向上心に溢れ、挑戦する人」でもあってほしいですね。別の言い方をすると「野生」を持ち合せている人。また、好奇心があって遊んでいて頭がやわらかい人。そうでないと未来が開拓できないですから。
一方で私は、「無頼」という言葉が好きです。強い存在に頼らず、長いものに巻かれず、毅然と立つという生き方です。世の中には「相対的にどうするか」と考えて妥協する人も多いですが、私の場合は、絶対的な価値観を軸にしてものを考え、生きています。
――いまおっしゃった好奇心、感性、野生、強い精神力を磨くことは、なかなか教育しづらいところかと思うのですが……。
堀口 たしかに難しいところではありますが、私はそれらを磨き高めるために、「旅に出よ」と、最近よく言います。
会社と自宅の往復だけで生きていると、その範囲でしか、ものを考えなくなってしまいます。それでは、どう考えても小さな世界観にとどまらざるを得なくなります。
もっと感動する世界、美しい世界が、広い世の中にはあります。旅に出ることによって、それらを積極的に吸収してもらいたいのです。「旅は発動の機なり」といいます。心を動かす始まりなのです。
私は若いころから、よく旅に出ていました。これは変な話ですけれど、旅行のパンフレットをもらってきては家で見て、「今度はあそこがよさそうだ。ぜひ社員を連れていってあげたい」とイメージを膨らませていました。
そんなことを繰り返していたので、あるとき妻から、「お父さん、幸せ者だね。夢だけ追っかけて、バクみたい」と言われたりしたものです(笑)。
――非日常での経験や、異文化との接触で刺激を受けることの大切さですね。その延長線で考えると、異業種交流などに、社長は興味がおありになりますか?
堀口 「盛和塾」に入塾する前、私は13カ所もの異業種交流的な勉強会に行っていました。あるとき新聞広告で、「創業から20年で1,000億円企業を作った起業家」の勉強会がスタートすることを知り、入塾することになりました。その開塾式が6時半からなので、絶対遅れないようにと、5時にホテルに行ったのです。ところが、聞いていた部屋に行っても、会の表示がされていない。
ホテルの人に確認してもらうと、「朝の6時から予約が入っていて、朝会をやっていましたよ」と言われたのです。頭をバットで打たれたような感じがしましたね。「朝の8時には会が終わり、9時からきちんと仕事に入る」という構えで、常識が違うのです。感動しました。
――その勉強会が「盛和塾」のきっかけになるのですか?
堀口 その一方で、私は別の「話し方教室」にも通っていました。「お客様との会話がもっとスムーズにできればいいな」と、考えてでした。その「話し方教室」では1人10分、自分の仕事や考えていることをスピーチする時間があったのですが、私は先の経験から経営の勉強がとても大切だと考え、その思いを「話し方教室」で発表したのです。
すると、たまたま聞いていたメンバーの一人が、「堀口さん、経営の勉強をしたいなら、このテープを聞いてみたら」と進めてくれたのが、稲盛塾長が「利他の心」について話されたものだったのです。
その内容に衝撃を受けました。そこで早速、「自分の“ばか人生”にピリオドを打ちたいのです」と言って、東京の「盛和塾・大江戸」に入れて頂くことになりました。きっかけは異業種交流での出会いと刺激だったわけです。
――なるほど。社長ご自身、仕事時間外でも寸暇を惜しんで、様々な刺激を受けてこられたわけですね。
堀口 最近、働き方改革が叫ばれていますが、単純に休みを増やすだけならば、社員の皆のためにならないと考えています。
私は社員の皆さんに、自由になれる時間を使って、旅に出たり、セミナーを受けに行ったりしながら、意識や行動が変わるきっかけづくりをしてほしい。それによって仕事の生産性が上がり、やる気も高まり、ますます自由な時間を作ることが出来るようになる。それこそが目指すべきところではないでしょうか。
このような意識で、特にリーダー層の皆さんには、働き方改革を活かして旅や異業種交流で刺激を受け、視野を広げ、見識を深めて、さらに自らを磨いていってほしいのです。サンフロンティア不動産を代表して、世の中に役に立つ仕事をどんどん手がけ、深めていけるようになるために。