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「会社の数字」がわかる社員による、ヒエラルキーのない組織作り【JALナビア】

高津良彦

2019年03月29日 公開 2019年04月15日 更新

JALナビア

<<企業と顧客を、電話やWEBでの問い合わせで結ぶコールセンター。株式会社JALナビアは、日本航空(JAL)グループにおける顧客とのコンタクト機能を担うグループ会社です。コールセンター運営を通じ、航空券の予約・発券・販売、「JALパック」のツアーの予約・販売などを取り扱っています。

同社は、2010年からはじまったJALグループ全体の経営改革のなかで、2011年に誕生しました。

現在、年間500万件におよぶ問い合わせに対応、売上117億円を計上しています。以下、2014年に社長に就任した高津良彦氏に、オペレーション業務における「全員経営」の実践事例と、上下にヒエラルキーのない組織作りのヒントを伺います。>>

 

社員比率94%の女性の力で成り立っている職場

――御社はJALグループの中で、どのような役割を担っておられるのですか?

高津 私どもの「JALナビア」という社名は、お客さまをナビゲートして、アシストするということを意味しています。JALグループには3つの大きなサービスフロント部門があります。1つ目が予約・発券部門、2つ目が空港の窓口部門、3つ目が客室部門です。そのなかの予約・発券部門を、当社が担っています。

具体的な仕事内容としては、国内外のJALグループ便、同じく国内外のJALパックツアー商品の予約・発券業務、さらには東京の有楽町にある「JALプラザ」という発券カウンターの運営にも携わっています。ここは、JALグループの情報発信基地という役割も担っています。

――オペレーション業務を行われるのであれば、多くの社員を抱えておられるのですね。

高津 社員数は2019年1月1日現在で、1,660名、JALグループ各社からの出向者は少なく、ほとんどがプロパーの社員です。そして社員のうち、女性比率が約94%で、男性が6%しかいないという、ほぼ、女性の力で成り立っている会社なのです。

そして業務においては、女性ならではの「きめの細かさ」や、「お客さまのお話をしっかり聞いて、汲み取る姿勢」が存分に発揮され、接客の上で大きな効果を生んでおり、本当に感謝しています。

――電話をかけてこられるお客さまには、「何日ごろの朝便で、価格が安いのはないの?」などといった曖昧な尋ね方をする人はいませんか?

高津 そうですね。たとえば「おばあちゃんを連れて初めて飛行機に乗り、沖縄に行きたいんだけれど……」という話をなさる。また「子連れだけど、どのような席がいい?」とか「富士山はどっち側に見えるの」などというご質問も頂きます。

さらに最近では、WEBでの予約が主流になってきているのですが、中には「WEBで進めていたけれど、途中で操作が分からなくなって……」というお電話も結構頂きます。そのような多種多様なご質問に細かく答え、「いつご出発ですか」と必要な基本情報をお尋ねしながら、予約・発券を進めていきます。

お客さまをナビゲート、アシストし、気持ちよく空間移動して頂くというのがわれわれの使命なので、その実現のためにはどのような事でも前向きに対応するというのが基本姿勢です。

一方で、JALグループ全体に関わるお叱りを受けたり、逆にお褒めの言葉を戴いたりすることも多々あります。もちろん、お客さまの声を受ける専門部署もありますが、お客さまが接触しやすい窓口なので、あらゆるお問い合わせやご意見が入ってくるのです。

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お客さまからの電話を一本受けるごとに収入が得られる仕組み 

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