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大投資家ジム・ロジャーズが悲観する「日本の末路」

ジム・ロジャーズ(投資家)

2019年08月05日 公開 2023年01月11日 更新

大投資家ジム・ロジャーズが悲観する「日本の末路」

<<世界的投資家として知られるジム・ロジャーズ氏。不安定な世界情勢と金融市場の影響もあり、その著書で『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)がベストセラーとなり注目が集まっている。

ロジャーズ氏は同書において、かつてと姿を変えてしまった日本をの将来を大いに不安視し、今後の日本に大きなる危機が訪れることを警告しつつ、そんな環境でもいかに「お金の流れをつかむ」を直裁に語っている。ここでは同書の一節を紹介する。>>

※本稿は『お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』(ジムロジャーズ著、大野和基訳 PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

「お金の流れ」をつかむには

私は常に、歴史の流れを踏まえながら、数年先を見るようにしている。歴史の流れは、先を読む力、とりわけお金がどう動くかという未来を教えてくれる。成功したければ、将来を予測しなければならない。

投資家だけではない。ミュージシャンであれ、サッカー選手であれ、会社員であれ、どんな世界でも成功したければ先を読むことが重要だ。私が2007年に家族でシンガポールへ移住したのも、来る「アジアの世紀」を見越してのことである。

重要なのは、「歴史は韻を踏む」ということである。これは作家マーク・トウェインの言葉だ。

世界の出来事のほとんどは、以前にも起きている。まったく同じ出来事が起きるわけではないが、何かしら似た形の出来事が、何度も繰り返されている。戦争、飢餓、不況、外国人迫害、貿易戦争、移民問題──。これらの問題は、形を変えて何度も起きているのだ。

現在と類似した問題が以前どのようにして起きたのかを理解すれば、現状がある程度把握できる。それがどのような結末になるかもわかる。よく「歴史は繰り返す」と言うが、まったく同じことを繰り返すのではない。韻を踏むように、少しずつ形を変えながら反復をし続けるのだ。

 

いつも耳を傾けてもらえなかったが、現実はその通りになった

このように歴史に学んでいたおかげで、私はこれまでにリーマンショックからトランプ米大統領当選、北朝鮮開国に至るまで、数々の「予言」を的中させてきた。

とりわけリーマンショックが起こることはその前年から目に見えていたので、その後少なくない利益を得ることができた。住宅ローン業務を担う連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)の株を空売りしたのだ。

ファニーメイだけでなく、シティバンクやその他投資銀行の株も空売りした。テレビに出演して「もうすぐ崩壊が訪れる」ともコメントした。だが、私の言葉に耳を傾けてくれる人は誰もいなかった。「君は変わっている」「ロジャーズはついに頭がおかしくなった」と言われただけだ。

2016年のアメリカ大統領選の時のことも、よく覚えている。大統領選のニュースを見ながら妻と娘二人に、「勝つのはドナルド・トランプだ」と言ったのだ。そう断言すると、家族はみなひどく腹を立てた。私はトランプ支持を表明したのではなく、あくまで彼が勝つと言っただけなのだが。でも、結果としては私の予想通り、彼が当選を果たした。

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この10年でお金の流れは激変した

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