囲碁はコンピューター化できないゲーム?
将棋、チェスと見てきましたが、実は、それより遥かにコンピューター化が難しいのが囲碁です。囲碁は、将棋やチェスと比べて、一手あたりに可能な打ち方の平均数(分岐因子といいます)が多く、約250通りだと言われています。
試合開始から終了までの手数は、プロだと100~200手程度のようですので、平均150手とすれば、試合展開のパターンは250の150乗となり、これは約10の360乗に相当します。それだけ複雑なゲームなので、囲碁の世界でコンピューターが人間のプロを破るのは当分先だと思われていました。
しかし、2015年のこと、Google DeepMindによって開発されたAlphaGoが、互先(ハンデなし)で人間のプロを破るという快挙を成し遂げました。その後もプロ相手に優秀な戦績を残し、2016年には、韓国棋院から名誉九段の称号を与えられています。コンピューターとして初めて、囲碁の「プロ」となったのです。
不正への誘惑
コンピューターが人間を超えつつある中、人間がコンピューターを使って不正を働くという事件も発生しています。 2002年のドイツ・ランペルトハイム・オープン戦(チェスの大会)では、あるプレーヤーが試合中に頻繁にトイレに立つという不審な動きをして、対戦相手からクレームが出ました。
主催者がトイレまで尾行し、耳をそばだてると、用を足しているような音は聞こえてきません。下からのぞき込んでみると、足先が壁側を向いているので、便器に腰かけているわけではなさそうです。
そこで、隣の個室の便器に乗って上からのぞくと、小型のパソコンでチェスのソフトウェアを操作していました。そこで御用。犯人は電子メールを見ていただけだと主張しましたが、パソコンの提出は拒否。大会からは追放となりました。