「消費税10%時代」をうまく生きていくためには無駄な支出を減らすことが重要である。だが、支出を抑えるということは単に我慢するということではない。経済ジャーナリストの荻原博子氏が支出を抑えるコツを解説する。
※本稿は『Voice』2019年11月号、荻原博子氏の「消費税10%時代の暮らしの守り方」を一部抜粋、編集したものです。
節約は「好きなもの」を減らすことではない
消費税が10%に引き上げられたいま、私のアドバイスは、自分の生活に「ランキング」をつけることです。
たとえば、スーパーに買い物に行けば、カゴに商品を入れていくでしょう。一通り選び終わり、レジに行く前に、そのカゴのなかを眺めてみてください。
そして、選んだ商品のうち、「1番要らないもの」を棚に戻すのです。それが300円だったら、週に3回買い物にいく家庭ならば、1カ月が4週間として3600円が節約できる。年間に換算すれば、これだけで4万3200円が浮きます。
ランキングの最下位は、えてして「どうでもいいもの」になります。それにお金をかけるくらいならば、トップ5に集中させたほうが満足度は断然高い。
ところが日本人は、満遍なくいろいろな分野にお金を使おうとする。日本の男性は高いスーツを買うと、身なりすべてを同ランクに合わせようとしますが、それは人目を気にしすぎているからです。そんな暇があれば、内面を磨きなさいといいたくなります。
節約というと、「自分の好きなことを我慢しなくちゃいけない」と思われがちですが、不必要な「ランキング下位」を切るだけで、支出は自ずと減っていくものです。
昔は、顔を洗うにも身体を洗うにも同じ石鹸を使うことが珍しくありませんでしたが、いまでは「シャンプー」「コンディショナー」「ボディソープ」「洗顔料」などと、とても細かくわかれています。
男性用化粧水も人気だと聞きますが、私などは「石鹸1つですべて洗えばいいじゃない」と思ってしまう(笑)。調味料にしても、いまでは当たり前のようにポン酢が家庭にありますが、つゆの素とすし酢を混ぜれば簡単につくれます。
不必要なものをもたずにシンプルな暮らしを送る「ミニマリスト」が流っていますが、私は消費10%時代こそ、この考え方が大事だと思います。