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人気作家が明かした“面白さ”を生み出す「抜け道」

森博嗣(もりひろし:作家)

2019年10月11日 公開 2024年12月16日 更新

人気作家が明かした“面白さ”を生み出す「抜け道」

衣食住がほぼ事足りる豊かな社会になって、ユーザーは単に便利な物や、有用な情報を提供するだけでは満足しなくなっている。求められるのは個人の「面白さ」の供給である。

YouTuberをはじめとする個人の情報発信が社会的に存在感を増し、大きなビジネスを生み出していることを見てもお分かりだろう。

商品開発やエンタテインメント業界はもちろん、すべてのビジネスパーソンに必須となる「面白さ」。多くのビジネスは「面白さ」を作って売るものになり、「面白い」ものがより求められる時代になっているのだ。

しかしながら、効率やコストだけを追い求めても「面白さ」を生み出すことはできない。ならば才能に左右されてしまうのか? それとも何らかのメソッドがあるのか?

著作は300冊以上、数々の大ヒット作をもつ森博嗣氏。多くの読者の心をとらえ続ける彼は、「面白さ」についてどう考えているのか。

本稿では、森博嗣氏の新著『面白いとは何か? 面白く生きるには?』(ワニブックスPLUS新書)より一部抜粋・編集し、これからのビジネスパーソンに必須となる「面白さ」を作り出すための「基本」と「ヒント」を紹介する。

 

私が考える「面白い」の7ジャンル

「面白さ」とは、どのようにして生まれるのか。

まず、「面白い」には、以下のようなジャンルがある。関連するキーワードも挙げておく。

「可笑しい」→笑える、ギャグ、ユーモア、苦笑、ほのぼの、癒される「興味深い」→考えさせられる、好きなもの、気づきがある、調べていたもの
「思いどおりになる」→考えたとおり、予測が当たる、繰返し、同感、共感
「手応えがある」→簡単ではない、やり甲斐、難しい、珍しい、達成感
「動きがある」→スリル、目が離せない、どきどきする、加速度
「意外性」→驚き、予想が裏切られる、例がない、新しい、変だ
「欲求を満たす」→美味しそう、格好良い、セクシィ、可愛い

これらは、きっちりと分けられるものではない。一つの「面白さ」は、たいてい複合的なものである。また、一つのジャンルの中にも、別のジャンルが含まれ、構造的にも複雑に絡み合っているようだ。

たとえば、「可笑しい」ものの中に、「動き」や「意外性」が要因としてある場合などである。

 

日常生活の中での「引っかかり」を見つける

「面白さ」は発明するものだ。実際の発明においても、過去の発明が特許となって蓄積されているから、新しいものを考えなければならない。さらに、新しいヒットを生み出すことは、発明以上に難しいだろう。

発明というのは、日常に感じるちょっとした問題を見つけ、その解決のために、柔らかい発想で工夫をする、という具合で作業が進むのが一般的らしい。要約すると、問題を見つけること、解決に工夫をすること、の二つの段階から成り立っている、といえる。

「面白さ」の場合にも、この方法が応用できそうだ。

日常の中で、ちょっとした引っかかりをまず見つける。これはどうしてなのか、なにか変だな、という問題である。そして、それを「笑えるもの」に加工したり、新たな観点から解決策を提示したり、という工夫をすることで「面白い」と大勢が感じるものが出来上がる。

よく「二つのものを組み合わせる」とか「違う用途に使ってみる」といった発明の方法が解説されることがある。これは、あくまでも後半の「工夫をする」段階のアイデアである。

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「新しい面白さ」を求めることはチャレンジだ

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