松下幸之助が創刊した雑誌が、いま、職場で読まれている理由

『PHP』は、心あたたまるエピソードや感動エッセイが詰まった雑誌。社員の人格形成や職場活性化にも役立つと、現在、全国1,000社以上の職場で愛読されています。
2019年11月07日 公開
「気に入らない方には売りません」と断言する、超人気カレー店がある。塩対応なのに行列が絶えない繁盛の理由は、店の「売らない」戦略にあった。
永井孝尚氏は新著『売ってはいけない 売らなくても儲かる仕組みを科学する』にて、マーケティング発想へ切り替えることで「売らなくても儲かる」仕組みの作り方を詳説している。本稿では同書より、売り手が「客を選ぶ」時代が到来したことを示した一節を紹介する。
※本記事は永井孝尚著『売ってはいけない 売らなくても儲かる仕組みを科学する』(PHP新書)の内容を抜粋して掲載しています>
「上から目線」でお客を選び、逆に虜(とりこ)にする店がある。東京・荻窪のカレー専門店「吉田カレー」だ。
本当に店があるのかわからない素っ気ない階段を上がると、こんな手書きの紙がある。
「本当にやる気がないので、できれば他に行って下さい」
さらに店内にはこんな張り紙もある。
「当店はお客さんを選びます。気に入らない方には売りません。 子供お断り」
店内には「吉田カレー鋼鉄のおきて4箇条」が書かれている。
①勝手に席に着かないでください(特にテーブル)
②注文はこちらから伺います。
③テーブル席は手が空いた時のみ案内します。そしてセルフサービスです。
④カウンターでくっついて座らないでください。
少しでも早く安く提供するためです。ご協力お願いします。
守っていただけない場合は放置プレーの刑です。
それでも並ぶ客のお目当ては、店の絶品カレーだ。店内の客は黙々と食べている。
カレーには10種類以上の野菜や果物が溶け込んでいる。
中毒性があるほど深みがあって美味い。週に8回来る客もいるという。
店主は一人で店を切り盛りしている。
店をスムーズに回すためには、お客にルールを守ってもらう必要があるのだ。
店主は週3日の定休日をほぼすべて仕込みに割いている。大量の野菜や、1キロで1万円もする北海道産干し貝柱など、美味しさのためには金に糸目を付けず食材を調達する。さらに徹底して健康志向だ。
塩分量はレトルトカレーの半分以下。脂は控えめ。添加物も保存料も一切ない。このような努力を積み重ね、さらに余分な接客コストをカットした結果、絶品カレーをリーズナブルな価格で提供することが可能になり、お客を虜にしているのである。
実は、徹底した顧客中心主義を実現するための「上から目線」の接客なのだ。吉田カレーは、あえて顧客を選ぶことでコストを下げ、値ごろ感を打ち出し、高品質のサービスを提供している。
客を選んで価格を下げる例を紹介したが、逆もある。
京都の高級料亭は一見(いちげん)さんお断りで有名だ。紹介がなければ入れない。しかも最初のお客の代金は、紹介者が払うという念の入れようだ。
これも身元が確かなお客を選ぶことで、高級料亭という格式を守るためである。
私たちは普段、付き合う相手を選ぶものだ。同じように顧客も選ぶべきなのである。
逆に、お客を選ばないと、消耗するだけだ。
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「売ってはいけない」相手を見極める5ステップ >
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