ニトリが「お、ねだん以上」を実現できた、知られざる裏側
2018年12月10日 公開 2019年04月03日 更新
(写真はイメージです)
ニトリとユニクロ。2つのブランドに共通するイメージは「値段の割に品質がいい」という「コスパの良さ」である。なぜニトリとユニクロは「コスパ感」で一人勝ちすることができたのか? 価格破壊を起こしたビジネスモデルの裏側を、マーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏が解説する。
※本記事は、『なんで、その価格で売れちゃうの? 行動経済学でわかる「値づけの科学」』(PHP新書)の内容を元に一部再編集したものです。
ニトリのブランドイメージは20年で大きく変わった
東京銀座の一等地にある百貨店に、家具のニトリが入っている。
先日行ってみたら、平日の午前にもかかわらずお客さんがいて、熱心に家具を見ていた。ゆったりとした空間に、統一したイメージの家具が揃っている。
20年ほど前に住んでいた近所にも、ニトリがあった。
当時のニトリは、言い方は悪いが「安いけど、品質はそれなり」というイメージ。
銀座のニトリにある家具を見てイメージが覆った。どれも上質。しかも安いのである。
ニトリは北海道で創業し、北海道で店舗を増やし、満を持して本州に進出した。
昔、私が住んでいた近所にあったニトリが出来た頃の店舗数は、30~40店舗。
その後も店舗を増やし、いまや全世界で545店舗(2018年8月時点)。なんと15倍だ。なぜニトリは、ひたすら店舗を増やし続けてきたのか?
ニトリ創業者の似鳥昭雄会長の原点は、27歳の時に米国視察旅行に行ったことだった。
米国はとても豊かで、商品も安いことに驚いた。「日本はまだ貧しい。商品は高いし、品質、カラー、素材もバラバラだ。もっと安くして、家具もコーディネートできるようにして、日本人の生活を豊かにしよう」と考えたのだ。
この想いを実現するために、ニトリは「お、ねだん以上。」をキャッチフレーズに、家具業界で価格破壊を続けている。