分析の基本は「分けて、比べる」
数字の分析の基本は、「分けて、比べる」です。
まず、数字をある程度の細かさまで分解します。たとえば「売上」という数字ならば、「顧客(年齢層)別」、「地域別」、「支社別」、「商品別」、「担当者別」といった切り口で分けることが考えられます。
次に、その分解した数字を何かと比べます。「ある基準と比べて、その基準を上回っていたか下回っていたか」という指標を用いないと、数字が良かったのか、悪かったのかを評価することができません。
ここでの模範解答例は、たとえば以下のような説明になります。
「先月の売上は3000万、これは前年同月比で112%と伸びており、目標に対しても達成率108%でクリアできています」
「商品別の内訳としては、Aが全体の70%を占めており、だいぶこの商品に依存した構成比になっております」
「そこで、他商品の比率を上げることで、より安定的な収益構造を目指す必要があります」
売上から変動費や固定費を引いた「限界利益」や「営業利益」の検証、売上金額でなく売上件数という着眼点からの分析なども重要です。
このような説明は、何もビジネスの知識や経験が豊富になければできないわけではありません。仕事で扱う数字の基本をいくつか押さえておけば、あとはかんたんな割り算と引き算だけで、だれにでもできることです。
ビジネスで数字を分析する際の「3つの基本指標」
ただ、いきなり「ビジネスデータ分析をしろ」と言われても、数字をどのように分解して、何と比べればいいかという基本を知らなければ、ただExcel上で数字をこねくりまわして格闘するばかりで、時間がかかるわりにはたいしたアウトプットにつながりません。
ここできちんとビジネスデータ分析の3つの基本指標を身につけてください。いずれも、かんたんな割り算で計算できるものばかりです。
①前年比(当年の数字÷前年の数字)
企業が売上実績を評価する際の第一の指標は、前年比です。つまり、昨年と比べて売上が増えたか、減ったかという数値です。「昨対比」とも呼ばれます。
前年比で大切なのは「同じ時期、同じ期間で前年と比較する」ことです。ビジネスには季節変動というものがあります。四季の変化や年間行事の影響が大きい日本では、同じ商品でも季節によって売れ行きが変わり、季節によって売れ筋商品も変わります。
②予実比(実績÷予算)
予実比というのは、「予算」と「実績」の比です。ここでの予算とは、「目標」を意味します。つまり、予実比は「目標額を上回ったか、下回ったか」を示す指標です。「予算比」「目標達成率」「目標進捗率」などともいわれます。
この予算という言葉、「自社が使えるお金」という意味で使っている文化の企業では通じないことがあります。しかし、「予実管理」という言葉は経営・ビジネスの基本用語ですから、予算という単語に「目標」という意味があるのは知っておきたいところです。
③構成比(部分÷全体)
全社売上高など、全体の合計数字は、分解してその内訳を出す必要があります。さきほど「売上」でも触れたように、「顧客(年齢層)別」、「地域別」、「支社別」、「商品別」、「担当者別」などさまざま切り口が考えられます。
こうした基準で分解した各構成要素が、全体に対してどれくらいの割合を占めているか。この比率が構成比です(「シェア」「社内構成比」「内部構成比」とも呼ばれます)。各要素の貢献度や偏重度、依存度を見ることができます。
では、これらの基本指標を使って実際に表を作成するにあたり、どのようなことを意識すべきしょうか。