「前向きな怠惰」で仕事はもっとラクになる――。そう語るのは、Excel業務改善コンサルタント、Excel研修講師としてこれまで300社5000人以上に「Excelを武器に人と企業が成長できるサポート」をおこなってきた、株式会社すごい改善・代表取締役の吉田拳氏。
同氏によれば、Excelはあくまでも道具であり、「この道具をうまく使いこなして、どう仕事の成果につなげるか?」という観点なしに、いくらExcelの関数や機能ばかりマスターしても意味はないという。
その表を作っていったい何を伝えたいのか。どのような表を作れば価値ある仕事になるのか。「仕事でExcelを使いこなす」とは、本来どういうことなのか。本稿では、吉田氏の著書『たった1日で即戦力になるExcelの教科書【増強完全版】』より、Excelを仕事の成果につなげるために意識しておきたい考え方について解説した一節を紹介する。
※本稿は吉田拳著『たった1日で即戦力になるExcelの教科書【増強完全版】』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。
関数や機能を覚えるだけでは意味はない
Excelのテクニックを駆使して、目の前のExcel作業を効率化するだけでは、まだ仕事の成果、ひいてはあなたのビジネスパーソンとしての価値を上げることにはつながりません。
Excelはあくまでも道具です。「この道具をうまく使いこなして、どう仕事の成果につなげるか?」という観点なしに、いくらExcelの関数や機能ばかりマスターしても意味はありません。成果につながる資料を、正確に、かつ短時間で仕上げる能力が必要なのです。
Excelで行うことのメインは「表を作ること」です。
では、どのような表を作れば価値ある仕事になるのか。人の役に立つのか。利益につながるのか。キャッシュフローの改善につながるのか……そうした成果を意識して資料を作らなければ、時間と労力のムダにしかなりません。そこまで含めて考えながら効率的に仕事をすること、それが本当に「仕事でExcelを使いこなす」ということなのです。
で、その数字はどういう数字なんだ?
「先月の売上は3000万円でした」
経営会議でこのように、「先月の売上」という数字を1つだけ発表されて終わられたらどうでしょうか。
「お、おう。で……?」
となるはずです。ならなければいけません。
「数字はわかった。で、その数字はどういう数字なんだ?」
と発表した人に質問し、その人が答えられないようであれば、ビジネスデータ分析の基本を学ばなければなりません。
じつは、ここに大きな課題があります。社内にさまざまなデータを蓄積しているのに、それがうまく活用されていない現場は無数にあります。せっかくのデータを活用し、収益を伸ばすために現状分析をして、目標設定を行い、計画を立案しようにも、どんなデータを、どのように使えばいいのか、だれもわかっていないから、何から手をつけたらいいのかがわからないのです。