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橋下徹のケンカの鉄則…負けを回避するには「躊躇なくいったん退く」



2020年03月20日 公開

橋下徹

 

金正恩がケンカに強い理由

このことを僕はこれまで言い続けてきたが、金正恩はそれをきっちりとやってきた。

本当に核兵器を放棄するような方針転換をしたのかどうか、そんなことは金正恩の腹の中の話なので誰にもわからない。普通に考えれば、そうは簡単に核兵器を放棄するわけがない。

金正恩こそ、小国にとって核兵器がいかに重要かを一番認識しているはずだ。しかし、あれだけトランプと激しく罵り合っていたのに、米朝会談を複数回開催したということは、負け戦を回避するために一呼吸おきにきたことだけは間違いない。

そのような金正恩の態度振る舞いが北朝鮮国家内部で弱腰だととらえられれば、あの北朝鮮の軍国主義的国家体制のことだから軍部等から猛反発を受けるだろう。

日本ですら、戦争指導者の弱腰には軍部組織が徹底的に突き上げを行った。日本がポツダム宣言を受け入れ、天皇陛下の玉音放送を流すときにまで、軍部が最後の最後までそれに反対し抵抗していたことは歴史的事実である。

非民主国の軍部を抑えるのは、本当に大変なことだ。にもかかわらず、あれだけ北朝鮮の指導者としてアメリカに強気で迫っておきながら、米朝首脳会談を模索できるということは、金正恩は軍部や北朝鮮労働党をうまくマネジメントしているのだろう。

粛清という「恐怖」によってマネジメントしているところもあるだろうが、それも含めて、自分が軍部に暗殺されないように何とか国家を切り盛りしている。

あれだけ激しくやり合ったトランプと金正恩。そういう関係にあった者が話し合いの場につくと案外意気投合するというのもケンカにおける定石だ。

 

表の交渉と裏の交渉を使い分ける

今の日本は憲法九条の下、軍事力は制限されている。他国を威圧するだけの軍事力や核兵器を保有することは決してできないことはもちろん、自分の国を自分の力で守ることも十分にできない国だ。

そんな日本は、アメリカの軍事力を笠に着て北朝鮮にプレッシャーをかけ、経済制裁も続けた。だが、北朝鮮は日本との貿易が止まってもどうということはない。

ゆえに日本は自らの経済制裁の力だけでは北朝鮮を動かしようもなく、中国、ロシアの経済制裁の履行に頼るしかないが、中国、ロシアは日本から圧力をかけられてもびくともしない。

結局日本は、アメリカが中国、ロシアに圧力をかけることによって、両国が経済制裁を履行することを期待するしかなかった。完全に他者の力に頼りきりの状態だ。

もちろん、トランプ大統領があそこまで死に物狂いで北朝鮮問題に取り組んだことや、国連安保理が制裁決議を連発したことは、安倍首相が北朝鮮への圧力の「必要性」を訴えたからだ。

日本には報道の自由があるので、水面下での交渉のすべてを隠すことはできないにしても、それでも日本は、建前上は、表立って声高に「圧力」を叫ばず、あくまでも水面下において圧力の必要性を訴えることがベターだというのが僕の持論である。

日本は表立って威勢よく圧力を叫ばないこと。圧力は、基本的にアメリカと国連に任せておくかたちをとるべきだ。

日本は自分に力がないことをきちんと認識しておかなければならない。
日本の一部の人たちは声高に、北朝鮮へのプレッシャーを叫んだが、それはアメリカの力を借りているだけであって、北朝鮮は日本を卑怯な弱者と見ているだろう。

状況によっては他人の力を借りることがあるにせよ、それは交渉する相手や周囲からは決してリスペクト・尊敬されないことを肝に銘じておかなければならない。



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