「やってみて、うまくいかなかったら、すぐ戻ってきていいよ」
建設会社の派遣社員として働き始めてからも、「安くて質のいいもの」が大好きなことには、まったく変わりありませんでした。
ただ、日常的に会う人が同級生から職場の人達に変わり、高校生のときに友達としていたような「あやちゃん、それかわいいね」「これ1,000円だったんだよ」「え〜! 見えない!」といった会話は、ぐんと減りました。
プチプラファッションの情報をブログで発信し始めたのは、ちょうどこの頃のことでした。
はっきりと自覚はしていませんでしたが、ブログを始めた理由の1つは「こんな安くていいもの見つけたよ」ということを、友達に話す代わりに誰かに伝えたかったからかもしれません。
それが結果的には、「プチプラのあや」という仕事に繋がっていったのです。
私は、現場事務の仕事が大好きでした。
にもかかわらず辞める決心をしたのは、「プチプラのあや」としての活動と、現場事務の仕事の両立が難しくなってしまったからです。
ブログと仕事の両立だけであれば、問題ありませんでした。
でも、ありがたいことに1冊目のプチプラコーディネートの本を出すお話をいただくと、取材に撮影にと一気に慌ただしくなりました。
そのために、仕事をお休みしなくてはいけない日も多くなってしまいました。
もちろん、こうした忙しさは、本が刊行されれば終わります。
ただもし、またインフルエンサーとしての仕事のお話をいただいたらどうなるんだろうと不安になりました。仕事を休みがちな状態が続けば、大好きな現場の方々にも迷惑がかかってしまいます。
迷った末に、ひとまず現場の所長に相談してみることにしました。
「『プチプラのあや』としての活動で、日々の時間捻出が難しくなってきたので、仕事を辞めてこの活動に専念しようかどうか迷っているんです」
最終的に私の背中を押してくれたのは、このときに所長が言ってくれたひと言でした。
「やってみて、もしもうまくいかなかったら、すぐ戻ってきていいよ」
そう言われた瞬間、心がフッとほどける感じがしました。「いつでも帰れる場所があるんだ」と思うと、「やってみよう」という勇気が湧いてきました。
所長のこのひと言がなかったら、おそらく私は仕事を辞めていなかったでしょうし、当然、今の私もなかったでしょう。
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