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社会

夫が「姑の味方」に見えてしまう”誤解”

黒川伊保子(感性リサーチ代表取締役社長)

2020年05月13日 公開 2022年06月30日 更新

 

夫は決して姑の方を持っているわけではない

この脳の使い方が徹底していると、日常生活でも、その手法を使う。

たとえば、隣の奥さんと、うちの妻がトラブルになった場合。100%向こうが悪くても、夫は「きみも、そんなことして、あの人を刺激しちゃダメだよ」なんて言ったりする。

こんなとき、たいていの妻は「あの人が悪いのに、あなたはあっちの肩を持つわけ!?」と逆上するわけだけど、これはアンフェアだ。夫は、向こうの肩を持ったわけじゃない。妻が大切で、ただただ守りたかっただけなんだから。

嫁姑のトラブルも同様だ。姑に言われた心無い一言を夫に訴える。しかし夫はなぐさめてくれるどころか「きみもこうすればよかった」とか「悪気はないんだから気にしなきゃいい」なんて言ってくる。あれも姑の肩を持っているわけじゃなく、妻を守っているのである。

 

「アドバイス」のブレーキが利かない

女性との対話に共感は不可欠と言われても、働き盛りの男性脳は、なかなか「アドバイス打ち込み」のブレーキを踏めない。

そもそも男性脳は、長らく、狩りや縄張り争いをしながら進化してきた。荒野に出て、危険な目に遭いながら、いち早く仲間を救い、確実に成果を出せた個体だけが子孫を増やすことができたのである。

厳しい環境では、共感は危ない。「きみの気持ち、わかるよ。でもね」なんて言ってたら、沼に落ちてしまうかもしれない。当然、事実文脈型の対話方式を使う。

こういう男性が、何万年にもわたって多めに生き残ってきたはずである。さらに、働き盛りの年代は、職場で「すばやい問題解決」を余儀なくされている。

男性は生まれつき、問題解決型にチューニングされているうえに、30代40代のビジネスパーソンは、ビジネスの現場で、さらにそれを研ぎ澄ましている。

問題解決型に強くシフトされている男性脳は、女性が望むレベルの共感型対話はやはり難しい。家庭の中であっても、問題解決型の人と話をするコツを、共感型の人もまた、知っておくべきである。

共感型でありながら、問題解決型の会話ができる人は、「デキる女」「聡明な人」と言われることになる。知っておいて損はない。

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