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肥満の敵「脂肪」の真実…“積極的に食べるべき脂”と“避けるべき脂”がある

2020年05月30日 公開

マーク・ハイマン(監訳:金森重樹)

 

いい脂質、悪い脂質、厄介な脂質

まずはじめに、そもそも脂肪とはいったい何だろうか?

脂肪は主に2つのとらえ方ができる。まず、その化学構造によってとらえる。第2に、その生物学的な仕組みと健康に与える影響という観点からとらえる。

最初は化学の話だ。栄養学では「脂肪酸」と呼ばれる脂肪は、炭素と酸素と水素の原子が鎖状につながった物質で、その鎖の一端にカルボキシル基(炭素、水素、酸素の原子数がもっと多い)が付いている。

脂肪酸は、分子の中の二重結合の数と、鎖の中の炭素原子の数によって分類される。脂肪酸には短鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸がある。また多くの二重結合を持つ脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)、あるいは二重結合のない脂肪酸(飽和脂肪酸)がある。

通常、3分子の脂肪酸が結合して、トリグリセリド(中性脂肪)という分子を形成する。トリグリセリドは主に肝臓で摂取した炭水化物から生成される。この多様な化学構造により、脂肪はさまざまな特性を持つようになる。

たとえば、飽和脂肪酸はココナッツや、哺乳類などの温血動物の体内に含まれ、生きている動物の体内に存在しているときは軟らかいが、バターやラードのように、体外で室温に置くと固くなる。

オメガ3脂肪酸は冷水魚(サケ科、サバ科などの脂の多い魚)や北極の魚に含まれ、室温では液体で、魚が冷たい水の中で泳いでいるときは液状である。

脂肪酸は、炎症・ホルモン・気分・神経機能の調節など、体内の多くの重要な機能において中心的な役割を果たす。たいていの人はそれがエネルギー貯蔵物質だと考える。もしエネルギー源としてグルコースが手に入らなければ、体はその代わりに脂肪酸を使って細胞に燃料を補給する。

エネルギーを得るために脂肪酸を燃焼するほうが健康に良く、健康を維持できる。実際に、筋肉や心臓のためにも良いのだ。脂肪酸(特にココナッツオイルや、中鎖脂肪酸トリグリセリドことMCT)を摂取すると生成されるケトンは脳のために良く、アルツハイマー病の予防と治療にも用いられる。

長年、脳のエネルギー源になるのは糖質だけだと信じられていたが、今はそれが否定され、脳が脂質やケトン(脂肪分解によって生じる)を燃焼させることがわかっている。

脂肪酸には4種類ある。

1 飽和脂肪酸(SFA)
2 一価不飽和脂肪酸(MUFA)
3 多価不飽和脂肪酸(PUFA)―オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸
4 トランス脂肪酸(TFA)

これらはその構造によって定義されている。

飽和脂肪酸には二重結合がなく(したがって水素で「飽和している」)、一価不飽和脂肪酸には二重結合が1個あり、多価不飽和脂肪酸には二重結合が2個以上ある。

トランス脂肪酸は奇妙な形をした脂肪酸で、通常は人体には見られない―二重結合が鎖をはさんで、自然に生じる脂肪酸に見られる位置の反対側に(つまり「trans: 横切って」)付いている。トランス脂肪酸は非常に体に悪い。

多価不飽和脂肪酸に見られる二重結合の化学構造は、光や熱や酸素といったさまざまな要因に触れると不安定になり、その結果、損傷を受けて健康に害を及ぼす可能性が高い。

この複雑さにさらに輪をかけるのは、ほとんどの食べ物にさまざまな種類の脂肪酸が組み合わさって含まれていることだ。何かが「飽和」とか「一価不飽和」とか言っても、実は、食べ物の脂肪分には多種多様な脂肪酸が含まれている。その食べ物に言及するとき、たいていは最も豊富に含まれている種類に注目するのだ。

たとえば、ココナッツオイル―飽和脂肪酸として知られている―は90%が飽和脂肪酸で、残りは多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸である。またバターも飽和脂肪酸と呼ばれるが、飽和脂肪酸は60%だけで、残りは一価脂肪酸と多価不飽和脂肪酸である。

脂肪の各カテゴリーを詳細に検討し、それが人体、体重、健康にどのような影響を与えるかを真剣に考え「食べるべき脂肪」「避けるべき脂肪」について学ぶことが重要だ。

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