「世界一教育にカネをかけない国」日本が生み出した“教師のブラック労働化”
2020年06月24日 公開 2024年12月16日 更新
「基礎的な読解力」がない生徒が増加している
もう少しだけPISAの結果からわかることを紹介します。日本の読解力の平均点は2012年、15年、18年と直近3時点では下がっていて、これは統計的にも有意な差です。
PISAではいくつか過去問と同じ設問が出ます。同じ問題について比較すると、18年の日本の平均正答率は12年、15年よりも下がっているものが多いです(ただし、同じ問題であっても、18年調査は過年度と調査方法が異なるため、単純な比較はできません)。
図は、読解力の習熟度別割合の推移を示したものですが、レベル1以下の低学力層が12年、15年、18年となるにつれて、徐々に増えています(レベル2も増加)。
PISAでは、生徒が知識を得たり、幅広い実際的な問題を解決したりするために、自身の読解力を発揮し始める習熟度をレベル2と置いています。つまり、レベル2は最低限の能力水準と言ってよいレベルです。
そう考えると、レベル1以下ならびにレベル2の生徒が増えているのは、読解力の順位の低下などよりも、よほど大きな問題です(2018年で約4割の生徒がレベル2以下)。
もちろん、すべてを学校のせいだけにはできないわけですが、レベル1や2ということは、おそらく小学校からの学習に何らかの課題を抱えたまま、高校まで進学している可能性が高いと推測できます。つまり、小中学校において、こうした子どもたちの基礎力の底上げが十分に功を奏していない可能性があるのです。
ちなみに、日本の数学的リテラシー、科学的リテラシーについては、OECD平均などと比べて、低学力層(レベル2以下)は相当少ないことが示されています。
もっとも、数学と科学についても、2012年、15年、18年の直近3時点では、低学力層は増加傾向にあり、高学力層(レベル5以上)は減少傾向にあることには、注意が必要です。こちらも決して楽観視はできないのです。