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「速読術」の功罪…読書家に見えて「実は読めていない」人たち



2020年06月17日 公開

Dain(ダイン)

Dain(わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)

読前と読後で、自分が一変してしまうような衝撃や視座をもたらす本。価値観や生活感だけでなく、ともすると人生そのものにインパクトを与える本。見慣れた世界をひっくり返したり、世界の解像度が上がるような「目」を手に入れる喜びをもたらす本。

そんな運命の一冊となる凄い本のことを「スゴ本」と呼び、ブログ「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」の中の人として10年以上にわたり古今東西の「スゴ本」を紹介し続けてきたのが、書評ブロガーのDain氏だ。

本稿では同氏の著書『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』より、「速読」の落とし穴と効果的な活用法について書かれた一節紹介する。

※本稿はDain著『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。

 

それは「読書」ではなく「見書」では?

わたし自身、巷に数多にある「速読術」に倣って、いろいろ試したことがある。しかし、結論を先に言わせてもらうと、それは読書ではなく「見書」である。

速読している人は、本を「読んで」いるのではなく、「見て」いるだけである。ざーっと字面を眺めて、引っかかったものや、キーワードを拾い上げて、再構成しているだけ。あとは結論めいたものを章頭や末尾から探し出し、一丁あがり。この「見書」でもって、さも読書しているかに見せかけるためのテクニックが、「速読術」である。

 

「メタ知識の把握」が速読術の要

やり方を説明する。

まず、その本がだれの何のために書かれたものかを押さえる。「まえがき」と「あとがき」を読む(ここはキッチリ読む)。いわば、その本そのものについてのネタばらしが書いてあり、対象分野におけるその本の位置づけがわかる。そして「目次」を熟読すれば完璧だろう。どこに、どれだけのページ数を割いているかをチェックすれば、重点がわかる。

次に、索引に並んでいる用語や参照文献を眺めることで、その本の立ち位置も見えてくる。そもそも自分に読めるかのレベル感も、ある程度は把握できるだろう。ちょっと手に取って、ざっと見すら難しい場合は、基礎知識が足りない。その場合は、関連する教科書・新書・入門書を眺め、おもに用語を仕入れておけばいい。

それでも難しい場合は、関連する教科書・新書・入門書からどのような位置づけなのか──異端なのか王道なのか、新しいのか旧いのか、越境的なのか伝統的なのか──を炙り出すことはできる。紙に本のタイトルを書いて、強く関連する本どうしを線で結んだ場合、対象の本はどこに位置づけられるかが描ければいいのだ。

本文を読むときは、パラグラフの先頭を拾い読みして、あとは流す(本文のキモ、すなわちトピックセンテンスが記されている場合が多いからね)。章末の最後のパラグラフはちょっとスピードを落として読む。

まとめのキーワードである、「つまり」「要するに」「結論として」「結局」を探しながら読む(受験国語のテクニックやね)。もう少し時間をかけていいなら、「しかし」で転調した後を重めに追いかける。

大事なのは、その本に書かれている知識ではなく、それが何についての知識なのかだけを押さえる。要するにメタ知識だ。そして、それさえわかったならば「読んだ」ことにする。これが速読術の要である。

だから、速読を誇る人が読んできた本のラインナップを見てみるといい。新書や入門書、ビジネス本の類がほとんどだろう。

これらは、「見る」だけで読んだふりができる。ご丁寧に、ポイントを巻末にまとめたり、重要な文をゴシック体にしているから、そこだけ押さえれば済むようにできている。

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「あたり」を得るためには見書も有効 >



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