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作家志望者に必ず教える「売れる本の3つのパターン」



2020年07月16日 公開

鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

鬼塚忠(アップルシード・エージェンシー代表)

作家エージェンシーであるアップルシード・エージェンシーの代表を務める鬼塚忠氏は、19年間にわたり「作家のエージェント」として多数のベストセラー著者をプロデュースし、また自身も映画化された小説『花戦さ』の作者である。

鬼塚氏によれば、ネット全盛の現在においても紙の出版を希望し、相談をもちかけられるケースが多いという。そのため出版講座「日本一出版に結びつく著者養成ゼミ」を開講し講師も務めている。

そんな鬼塚氏が作家になりたい人にエージェントとして必ず伝えていることがあるという。その一部をここで紹介したい。

 

人によって「売れる本」の条件が変わる?

おおまかに言うと、世の中に出る書籍は3つの種類に分かれると思っています。

ある時、新聞社の論説委員と話していたら、「本は、人が知らないことを書かないと意味がないよ」と言われました。

これは、先日アメリカで出版されたジョン・ボルトン前大統領補佐官が書いた『The Room Where It Happened』がそれで、もうすぐに100万部に達するといいます。これは、この「人が知らないこと」のインパクトの大きさが重要です。

その後、この話を、友人のテレビの構成作家にしました。

すると彼は、「その話はもっともなことだけど、俺は30分間で5億円の商品を売り上げるテレビショッピング番組の台本をつくった。だから正直、俺の持っている〈人に商品を売る技術〉を書籍にしたほうが価値あるんじゃない?」と言いました。まさしくこれも真っ当な意見です。

この話を、また別の小説家と話す機会がありました。

その方は、「私の小説は10万部売れて、テレビドラマ化され、視聴率14%をマークした。再放送やDVDなど含めれば、2000万人以上がみて感動した計算になる。だから私の小説の方が価値あるよね」と言ったのです。これまた、まさしくその通りです。

 

出版を実現するには「コネと運」だのみ?

彼ら3人が言っていることは、どれも面白く、示唆に富んでいます。

1人目は、「人の知らないことを世に伝える書籍」。2人目は、「自分が持つノウハウを教える書籍」、3人目は、「人を感動させる物語の書籍」。つまり世の中で広く読まれる書籍は、ざっくり、この3パターンのいずれかに当てはまるということが言えるのです。

1番目はネタが勝負です。取材方法が大事になり、これをイチから習得するのは、なかなか難しい。

この類の本を出そうと思ったら、まずは新聞社か、雑誌を作る出版社に潜り込んで、そこで経験を積み、情報を得る方法を覚えるのが手っ取り早い。または、大学院で人の生活に影響を及ぼしうる新しいことを研究し、それを誰でもわかるような言葉で書けば可能性は高くなると思います。

3番目の「人々が感動する物語をつくる」という作業もまた特殊な能力が必要で、かなりハードルが高い。これは作家などが主宰する小説講座などに行くのがいいかもしれません。

ただ基本的に、小説家デビューは、何らかの文学賞を受賞することが前提となっていて、その文学賞自体がかなり難しい。

ちなみに新人賞の登竜門として最も評価の高い、河出書房新社の文藝賞の去年の応募者数は1840作品。その中で受賞作が2作。およそ受賞率が0.1%です。これは、ほぼ不可能。

また運も作用すると思った方がいいと思います。審査委員だけでなく、その前に下読みをする人の審査も通らなければいけません。

では、万人に好感を持ってもらえる作品を作ればいいと思われるかもしれませんが、それは不可能です。いい作品を書くには個性的にならざるを得ず、そうした場合、選考者の好き嫌いの問題はどうしても出てきます。

以前、ある文学賞の3次選考で落ちた作品を読んで、これは面白いと思ったので、プロデユーズをしたら50万部のベストセラーになったことがあります。こういう話は出版界にいると、たまに聞く話です。

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