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フランス最大の知性エマニュエル・トッドが予測する「コロナ後に悪化する世界」



2020年07月26日 公開

エマニュエル・トッド(訳:大野舞)

エマニュエル・トッド(写真:井田純代)

現代最高の知識人と称されるフランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏。トッド氏は今回のコロナ危機と、その後の影響をどう見るのか。世界的に広がる教育格差問題を分析し、ウィズコロナ時代に加速する新たな階級化を論じた4年ぶりの近著『大分断 教育がもたらす新たな階級化社会』(PHP新書)。本書から内容を抜粋し、未収録箇所もあわせてお届けする。

 

コロナ危機を1980年代から考える

ポスト・コロナ(コロナ後)について、私は「何も変わらないが、物事は加速し、悪化する」という考えです。この考えは実際の歴史的考察を踏まえたものです。

1980年代にも、とある疫病が流行ったことがありました。エイズです。エイズの出現は人々に大きなショックを与え、それは今起きていることと同様の出来事だったと言えます。

当時も人々はエイズにどう対処したら良いのかわかりませんでした。私もエイズが流行った時は呆然としたことを覚えています。そして、このような苦しみが西洋社会を根本から変えるのはないだろうか、と人々は考えたのです。

実はその頃、私は個人的にエイズについての調査を行なっていました。そして、エイズは当時罹患するリスクが高いと言われていた層から拡大することはないだろうと理解したのでした。

その一方で、私はリスク層に属する同性愛者、黒人、薬物依存者などの人々に対して、社会が反動的な反応を示さないだろうかということを恐れていました。

でも実際に何が起きたかというと、社会の根本部分にある思想的な傾向、例えばフランスでは平等に基づく自由主義という傾向は全く変わることがなかったのです。エイズすらもこの思想的な社会の傾向を変えることはなく、むしろどちらかというとその傾向がその後、強調されていったくらいだったのです。

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コロナ危機はすでにあった問題を表に出し、加速させた >



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