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人の数倍の結果を出す人が「自分の脳をコントロールしている」理由

ムーギー・キム&池原真佐子(MANABICIA代表)

2020年08月31日 公開 2023年01月13日 更新

ムーギー・キム

プロコーチが注目する「無意識の声」

ムーギー:では、8つめのポイントを伺わせてください。

池原:8つめは、「セルフトーキングを制する」です。

ムーギー:つまり、自分の無意識をコントロールするということでしょうか。

池原:そうですね。セルフトーキングのほとんどがネガティブなものだとお話ししましたが、自分がどんなセルフトークをしているのかを意識したら、今度はそれをポジティブに変えていきます。

ムーギー:ネガティブに考える癖があっても、心の遺伝子操作をすることによって、自分のセルフイメージを書き換えていくわけですね。

池原:遺伝子操作と言えるかもしれませんね。その時にも、3つのコツがあります。1つは、セルフトーキングを押さえつけること。私たちプロコーチは、湧き出てくる無意識の声を「犬」と呼びます。心の中に、しつけのされていない犬がいて、いつでもワンワンと吠えてくるイメージです。その犬が「お前はダメだ」と吠えてきたら、その瞬間に「ダメじゃないよ」と言い聞かせて押さえつけるんですね。

2つめのコツが、無意識、潜在意識のセルフトーキングが湧いてくる前に、顕在意識のセルフトーキングで満たしてあげること。例えば、朝の10分間に、「私はこの目標を達成できる」などと、自分に語りかけていくんですね。そして3つめのコツが、語りかけるときの主語を「私」ではなく、「あなた」に変えることです。そうすることで、よりパワフルになることを、米イリノイ大学がヨーロッパの学会誌で発表しています。

ムーギー:「ムーギー、この大好きなポテトチップスを食べずに我慢したら、痩せることができるから」と。

池原:はい(笑)。第三者の感覚で語りかけることで、より効果が出るといわれています。その次のポイントは、「インボルブ・巻き込み」です。

ムーギー:インボルブ・巻き込みとは、どういうことでしょうか。

池原:「早く行きたいなら一人で行け。遠くに行きたいならみんなで行け」ということわざがありますが、大きな目標を達成しようとするときには、自分一人の力では限りがあります。ですから、いろいろな方の支援や協力を得ながら進んでいく必要があります。

ムーギー:「自分が言っても人はついてきてくれない」「自分に人を巻き込むことはできない」というような、セルフイメージを持っている人も多いと思います。そういう人たちにはどんなアドバイスをされますか。

池原:人を巻き込んでいくときには、出会う、つながる、信頼される、応援されるというステップがあります。例えば、何かを達成したいと思うなら、それをすでに達成している人、あるいは達成を助けてくれそうな人に会いにいったり、グループの勉強会に参加したりする。出会ったら、その場で名刺交換をして終わりではなく、次の機会につなげていく。そして、その人たちから信頼される人、応援される人になる。

この「信頼される」時に大切なのが、弱さを出せるかどうかではないかと、私は思っています。「この人にもこんな弱い一面があるんだ」「自分にそれを見せてくれた」と思った時に、人は「助けてあげたい」と感じるものだと思うので、自分一人で頑張りすぎてしまう人は、あえて弱さを出して、周りを頼るといいと思います。

ムーギー:「応援される」というのは、どういうことでしょうか。

池原:「この人のこと、一緒に手伝ってあげようよ」と、周囲の人に言ってもらう。そうすると、応援者が増えていきますよね。

ムーギー:いわゆる乗数効果ですね。選挙の時も、投票してくれる人よりも、この人に投票しようよと呼びかけてくれる人がどれだけ増えるかが重要と聞きますね。

池原:そういう時に、先ほどのような自分の弱み、強みといった、「私はこういう人間です」というわかりやすいタグをいくつかもっておくと、応援されやすくなると思います。

 

ビジネスで成功するのは「賢い人」ではなく「行動力と自信がある人」

ムーギー:ありがとうございます。本当に勉強になります。それでは、「コーチングの基本10か条」の最後のポイントは?

池原:「とんでもないゴール」の両輪とも言える「コンフィデンス・自信」です。

ムーギー:自分に自信がなくて困っている人は多いですよね。最近、「ブルー・オーシャン戦略」で知られるチャン・キム教授とお話しする機会があったのですが、こんなことをおっしゃっていました。日本や韓国などアジアの学生には賢い人がいくらでもいる。いないのは、自信のある人だ。ビジネスで成功しているのは、賢さよりも、自信と行動力がある人だ、と。

そんな自信のない人たちが、自信を持つための秘訣はありますか。

池原:自信には、行動と仲間が大きく影響します。チャン・キム教授のお話に「自信と行動力」という言葉が出てきましたが、実は、小さな行動をし始めると、小さな自信がついてきます。

ムーギー:「鶏が先か、卵が先か」のようなもので、自信があるから行動するのではなくて、行動するから自信がついてくる。

池原:その相互の影響があります。私たちは大きなビジョンを掲げると、大きなワンステップを踏もうとしがちです。でも、そのために止まってしまっては意味がないので、ちょっとした一歩、実験をしてみる。誰かに会いにいく、メールをしてみる、そんな小さなことでもいいので、まずはやってみることが大事です。ですので、今日お話ししたどれか1つでも、アクションにつなげていくと、自信にもつながってくると思います。

ムーギー:ここまでお話をうかがってきて、ビジネスリーダーがコーチングを学ぶ際の教訓は、組織が信頼感と安心感、そして自信にあふれているかを自問することだと感じました。

池原:私が今日お伝えした10か条は、皆さんにとって特別目新しいものではなかったかもしれません。ただ、行動するかしないかで、明日からの自分自身、10年後の自分のキャリア、あるいは組織が大きく変わってきます。そういう意味では、とても実行しやすい基本をお伝えしました。これを読んでいただいた後、あなた自身が何を実践するかを問いかけていただけたらと思います。

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