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仕事

さんざん議論だけして放置…「やりっぱなしの会議」を生み出す犯人

沢渡あまね(業務改善・オフィスコミュニケーション改善士),元山文菜(株式会社リビカル代表取締役)

2020年11月14日 公開 2022年02月22日 更新

 

実行することの“決め方”を決める

それでは、大や中などで「即実行・即実感」できないアイデアは放っておいていいのかというと、そうではありません。できればExcel表などに、「1行1アイデア」という形で記録しておきましょう。

「こんなことできたらいいなぁ~」。夢みたいな大きな話も、もしかしたら経営層からみたら大きな手がかりとなり、企業を変革する礎になるかもしれません。

次に、宝の山を書き留めて終わらせてしまわないように、スケジュールに落とす必要があります。ここでポイントになるのが、「何から実行すればいいのか」の決め方を決める(定義する)。

決め方を決めておくと、声の大きな人のひと声で実行する施策が決まってしまうのを防いだり、後任者に「なんでこんなことやっているの?」と聞かれたときの説明ができます。フィギュアスケートや体操競技でも、技の得点が決まっているから順位をつけられるのと同じです。

この定義づけの項目は、プロジェクトの目的によって違うので、100社あれば100通りあります。ですが、よく使われるのは、コスト、巻き込む範囲(ステークホルダー)、ベネフィット、期間です。これらを参考にしながら、3つ程度の項目に絞って点数をつけてください。多すぎると混乱してしまうので、シンプルに設定してください。

●コスト

システムを導入する、新しい設備を購入する、新しい建屋に引っ越す、アウトソーシングするなど、その施策を実現するためにかかる費用や工数などです。こちらも、どのように点数化するかは組織によって異なりますが、3段階程度にしておくといいでしょう。

(例)
・3点 → 費用が不要な施策
・2点 → 来期予算内の計上が必要な施策
・1点 → 新たに予算を取り、承認が必要な施策

●巻き込む範囲

一般的に、プロジェクトはステークホルダーが多くなればなるほど複雑化し、難易度が高くなります。

(例)
・3点 → 自部門の周知や教育だけで完結する施策
・2点 → 他部署や全社的に周知や教育、協力の依頼が必要な施策
・1点 → お客様や取引先など社外への周知や協力依頼が必要な施策

●ベネフィット

プロジェクトのゴールにその施策が合っているのかを測定するための項目です。業務改善が効率化を目指すものだとしたら、「効率度」を定義においたりもします。

点数の付け方ですが、どれくらいのボリュームの改善ができるのかを点数化するのも1つの方法です。

(例)
・3点 → 廃止(なくす)
・2点 → 削減(減らす)
・1点 → 変更(変える)

●期間

実行するために長い期間を要するものなのか、ある程度短期間で実行できそうなのかを定義します。

(例)
・3点 → 今月中
・2点 → 上期中
・1点 → 来期

定義づけした項目をふまえて、出てきたアイデアに対してそれぞれ点数をつけていきます。基本的には点数の高いものから優先順位をつけて見定めますが、「点数の高いものが優先順位が高い!」とかんたんに言い切れないことももちろんあります。

特に、効果は高いけれども、コストが高かったり、ステークホルダーが多いような施策は吟味が必要です。

「結局、議論するのかよ!?」と思ってしまうかもしれませんが、すでにたたき台があった状態で議論を進められるため、意思決定のスピードは明らかに速くなります。そして、最後にしっかりと期限を付け足してスケジュールに落としていきます。

 

アイデアに期日を入れ、一覧にする

この段階で、自分たちだけでは解決できないアイデアも整理できます。さきほどの例でいうと、【中】は自分たちでスケジュールと担当者を決めれば進められますが、【大】は自分たちだけではどうすることもできません。

【大】
「基幹システムを導入する」
「パートさんを雇う」

【中】
「マニュアルがいろいろな場所にあるので、読む気がしない」

このようなアイデアは、体制図でいうところの改善オーナーや改善推進室の担当者にしっかり伝えて回答をもらい、なにかしらのアクションをとってもらいます。じつは、すでに経営層の間では検討されていたり、プロジェクト化されていることもあります。

「ずっと現場で不満に思っていたけれど、経営層では検討されていた」とわかりストレス軽減になったり、業務改善がキッカケで新たなプロジェクトが立ったりすることもあります。

そして、それぞれのアイデアに期日を書き、だれが、いつまでに進めるのかを一覧で可視化します。この一覧は、共有フォルダに入れておき、常に改善オーナーに確認してもらうようにしてください。どのようなアイデアが現場から出ていて、なにが実行されているのかを理解してもらうのです。

とにかく、出てきたアイデアは整理して優先順位を立てて、しっかりとスケジュールにまで落としましょう。これにより、確実に実行、効果の実感できる業務改善活動になっていきます。

 

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