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“肩こり・腰痛・だるさ”が続く… 「悪い疲れ」の放置が引き起こす深刻な病気

2020年11月23日 公開

小林弘幸(順天堂大学医学部教授・日本体育協会公認スポーツドクター)

小林弘幸氏
撮影:山口規子

疲れは病気のサインの可能性もあるため、50代からは注意が必要です。なぜなら、あらゆる病気の最初の症状は疲労感だからです。自律神経研究の第一人者である小林弘幸氏は“疲れの放置”が引き起こす健康上の問題を解説します。

※本稿は、小林弘幸(著)『名医が実践する「疲れない」健康法』(PHP新書)より、一部抜粋・編集したものです。

 

血流の悪化が、肩こり腰痛、片頭痛、だるさを引き起こす

自律神経の乱れからくる悪い疲れは、さまざまな病気を引き起こすことはご存じの方も多いでしょう。その理由は、血流を悪化させてしまうことにあります。病気をしやすい年代に入った50代以降の人は特に、血流を悪化させないようにしたいものです。

なぜ血流を滞らせてはいけないのか。改めてまとめますと、血液には次の2つの大きな働きがあるためです。

(1)全身の細胞に、栄養や酸素、免疫細胞を送り届ける配達の役割。
(2)いらなくなった老廃物や排出された疲労物質を引きとり、回収する清掃の役割。

この2つの仕事を、血液は絶えまなく行っています。

私たちが起きているときも眠っているときも、血液がこの2つの役割をスムーズに行っていれば、体調はよくなります。悪い疲れも消えていきます。そのためには、自律神経の働きが重要です。自律神経には、人体すべての細胞に質のよい血液を送り届ける働きがあるからです。

反対に、自律神経が乱れると、血流は悪化します。血流が滞れば、細胞の老化も進みます。免疫細胞の働きも悪化するので、病気になりやすく、治りにくい状態がつくられます。

こうなったとき、身体にずっしりとのしかかってくるような、悪い疲れが起こってきます。肩こりや腰痛、片頭痛、だるさ、めまいなども現れます。

これらを放置していると、身体の不調に留まらず、深刻な病気につながる可能性もでてきます。悪い疲れとは、血流の悪化から細胞の状態が悪くなりつつあることを、私たちに伝えるSOSでもあるのです。

 

血流が悪化すると、うつ病や認知症が起こってくる

便秘をして腸の働きが悪くなれば、全身の細胞の質が低下します。その悪影響は、脳にまで及びます。便秘外来を受診される患者さんのなかには、うつ病を患っている方や、メンタルの不調を抱えている方が少なからずいます。

こうした患者さんは、便秘を改善すると、うつ病やメンタル不調も治っていくケースが多く見られます。理由は簡単です。質のよい血液が、脳にまでしっかり送り届けられるようになるためです。

人の思考を支配する脳は、血液を大量に必要とする臓器です。血液は心臓のポンプの働きによって全身に送られていますが、その心拍出量は、1分当たり約4・5リットル。このうちの6分の1から5分の1もが脳へと送られています。

脳とは、体重のわずか2パーセントの重さしかない臓器なのに、大量の血液を要求します。それほどたくさんの栄養と酸素が、脳の健全な働きには必要なのです。

このため、血液の質の悪化に、もっともダイレクトに影響されるのが、脳です。脳が栄養不足や酸素不足の状態に陥れば、脳は活動力を落とします。当然、思考力も低下します。

その状態が長引けば、思考はネガティブになってストレスの感受性が高まるうえ、自律神経の働きも乱れます。悪い疲れもたまっていくでしょう。朝起きるのもつらく、動くことも億劫な状態です。うつ病やメンタル不調などは、こうして起こってくることが多いのです。

しかも、最近の研究によって、うつ病からアルツハイマー型認知症へ移行する人が多いことが報告されています。うつ病は、認知症のリスクファクターの一つです。

うつ病の人は、血液の質も悪くなっていて、脳の働きを低下させています。この状態を長く続けてしまえば、脳細胞や脳の毛細血管に与える影響も深刻になります。それが、脳細胞をじわじわと老化させ、やがて認知症という大病へつながっていくと考えられるのです。

しかも、ストレスを感じると、人の体内ではコルチゾールというホルモンが分泌されます。このホルモンは、脳がストレスに対応するうえで不可欠ですが、分泌が過剰になると、脳細胞が破壊され、やがてうつ病が引き起こされることが分かっています。それが長期にわたって続くことで、認知症が起こってきてしまうとも考えられているのです。

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