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意味深な「筒井順慶と鉄砲200挺」…前田慶次が読み解く大河『麒麟がくる』の伏線

前田慶次(名古屋おもてなし武将隊)

2020年11月21日 公開 2022年06月30日 更新

 

偶然!? 伏線!? 筒井順慶に光秀が要求した「鉄砲200挺」

儂が『麒麟がくる』において、重要人物と見ておる筒井順慶が遂に参戦!
 現世に伝わる肖像画そっくりではないか、と驚いてしまった。22歳という若さで登場した。

筒井順慶は、僅か2歳で当主となった大和の大名で松永久秀の好敵手。
あの有名武将の島左近を家臣として持つ。左近は武勇に秀でた男で、後に石田三成の家臣になった。

話を戻すが、筒井は大和で台頭してきた松永久秀を倒す為に三好勢と同盟を結ぶ。その結果、松永久秀は織田信長と同盟を結ぶ。

後に筒井は光秀の与力となり、安土城で信長に拝謁し色々と頂戴する。
また、此度のタイトルともなり、光秀が筒井に要求背板「鉄砲200挺」というのが偶然か必然か、面白い数字である。

後に松永久秀は信長を裏切り、信貴山城の戦いが起きる。この合戦で重要な意味を持つのが鉄砲衆200名なのじゃ。それは筒井順慶が戦いに送り込んだ鉄砲衆で、この戦いの勝敗を決することになるのじゃ。

描く時代は違えど、偶然とは思えぬ数字の演出。筒井順慶の今後の動き方に注目したい!

 

「高い木の話」から見える織田信長と足利義昭の違い

冒頭の「⾼い⽊の話」は、美濃編にて、帰蝶が光秀の前で『幼き頃、高い木に登って降りられず泣いた』という二人の昔の話。

その時は、光秀は恥ずかしさから『お止め下さい』と制した。
此度の放送にて光秀は自ら、その話を口にした。

弱味を人に話す、武士にとってそれは実に難儀なことである。
義昭に自ら歩み寄り、心をさらけ出す。二人の関係性を築いておるのは、勿論のことであるが、光秀は義昭の本音を聞き出そうとした。

足利義昭はその高い木の話を聞き、泣いたと口にする。高い木という表現、武家の頂に立つ将軍という立場を示すものだと儂は思うた。

つまり、高い木に登ったのは良いが何をすれば良いか分からなくなった。
周りの助けが無ければ動けない、立場が高いだけの将軍になってしまった。

仏の道を歩んだ義昭だからこそ、「世の中をこうしたい」という強い想いがあるにも関わらず、できぬ自分に泣いたという演出。それに対して、泣けない光秀はもっともっと高い木を目指して今登っている。

「泣いている場合でない!」と上を向いて進めるようになった事や、世を平らかにする為には今は戦うしかないという決意を表現した。
この冒頭の熱い表現に儂も手に汗握った。

「将軍自ら戦場へ出陣すれば、浅井が裏切ることもない。」と出陣する事での大きな利を説明する光秀。

何故、そう申せるのかと言うと、これは織田信長がそうであるから。

ドラマの中では合戦場面は少ない故、描ききれていないが信長は大将自ら戦場の前線に出陣する事が多く、兵達の士気を高め戦を勝ちへと導いた。

金ヶ崎の戦いで光秀が殿(しんがり)を務め、死ぬ思いであったと話したが、信長は義理の父である斎藤道三を助けるべく援軍に参り、撤退する折は自ら殿(しんがり)を務めたと聞く。

斯様な信長の姿を見聞きし、光秀は将軍自身に"麒麟"を求めておるのかもしれない。

信長は何も恐れない。自らが世を変えるため、天下布武へと動く。

信長は自らが麒麟になろうとしておるのやもしれん。故に光秀は惹かれ、幕臣を辞めて織田家に仕えることを選んだのもきっかけの一つかもしれんな。

 

百足(むかで)と蜻蛉(とんぼ)が漂わせる"足利義昭の悲哀"

将軍・義昭と申すと、虫に例える演出が度々出てくる。此度の回で二種類の虫が登場し、重要な表現がでてきた。

一匹目の虫は、戦国時代の験担ぎ(げんかつぎ)の代表である百足(ムカデ)が寝床登場。百足は後方に下がる事が無い生き物。これは戦場で実に重要なことである。

百足によって、幕府と甲斐の武田信玄との繋がりを匂わせた。武田軍には猛者が選定された集団、百足衆という組織がある。信長包囲網において、重鎮武田信玄が登場を示唆する演出であった!

もう一つは、土産と言う名の蜻蛉(とんぼ)。篭に入った蜻蛉は勢いよく飛び回るが外に出られない。正に篭が信長といえるのではなかろうか。

殿中御掟(でんちゅうおんおきて)を始め、信長の許可が無いと何もできない義昭。将軍となり、羽を持ち飛び回る力を手にしたが、狭い篭に閉じ込められるという演出で魅せるのは誠に見事な演出であった。

蜻蛉を自分になぞって見る義昭の表情にはぐっと来るものがあった!

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