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テスラが「広告費ゼロ・ディーラー無し」でも売れる理由

山本康正(ベンチャーキャピタリスト)

2020年12月12日 公開

 

テスラのユニークな4つのソフトウェア

ソフトウェアのアップデートは、テスラユーザーにとってはとても楽しみです。実際私も、2カ月ごと、メッセージが届く度に「今回はどんなサービスが加わるのか」とワクワクしています。

そしてソフトウェアのサービスにおいても、テスラは他の自動車メーカーとは異なり、ユニークなものが多いです。いくつか紹介します。

●スマホによる遠隔操作

車に乗っていなくてもスマートフォンで車両を操作できる機能です。まさにラジコン感覚で車を動かすことができます。動かすだけではありません。窓の開け閉めやエアコンのスイッチオン・オフなども可能です。自動運転機能も備わっていますから、雨の日などは玄関の目の前に車を呼び寄せることができます。そして乗った瞬間から、車内は快適な温度に保たれています。

現時点では敷地内など、私有スペースでのみの利用となっていますが、いずれは公道でも広がっていくことでしょう。

●モニターが季節によって変わる

グーグルはクリスマスやお正月といった季節やイベントの際、そのイベントを意識したインターフェイスに装い、利用者を楽しませてくれます。テスラもまさに同様のサービスを展開しています。

たとえばクリスマスの時期には、車内のモニターがクリスマス仕様に変更できます。それだけではありません。道を曲がろうとウインカーを操作すると、音が通常のチッカンチッカンではなく、クリスマスらしい鐘の音色に変わっていたりします。

●ドッグモード

遠隔操作による車内の空調設定に、自動調節機能が付随したサービスもあります。「DogMode(ドッグモード)」です。名前の由来は、アメリカでは車内にペットを置いておく人が多いためです。真夏では、車内はかなりの高温になりますが、同機能があれば車内の犬は快適に過ごせる、というものです。

ただペットを置き去りにしていると、動物を虐待しているとの誤解を生みかねません。

そこで同サービスの利用中は、外部に見えるスクリーンに「今ドッグモード中です」との表示がされます。

真夏の暑い日に子どもが置き去りにされ、不幸な事故が起きるとの報道が度々されます。

アメリカでは子どもを車内に置き去りにすることが法律で禁止されているので現時点では難しいですが、いずれはドッグモードが広まることに加え、遠隔監視・操作も付帯すれば、子どもの見守りのようなサービスに発展する可能性は十分あります。

●エンターテインメントが充実

ユーチューブ、ネットフリックス、スポティファイといった動画配信ストリーミングサービスも、ソフトウェアのバージョンアップにより実装されていったサービスです。実際、私も空港の送り迎えのときなどに、車内で待つ時間が長くなることがあり、その際に利用しています。

ゲームも充実しています。マリオカートのようなゲームが車内のモニターで楽しめます。テスラのすごいところは、実際の車のハンドルやアクセル・ブレーキを、ゲームで使うことです。

もちろん停車しているときにしか動作しませんが、特に子どもにとっては、リアルな車でゲームが楽しめますから、楽しくて仕方がありません。

従来の自動車メーカーからすれば、くだらない、必要ないと思うサービスかもしれませんが、子ども心をくすぐる、遊び心のあるサービスも、テスラが多くのユーザーから支持されている理由だと私は思っています。

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