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「医者まかせでは腰痛は治らない」正確に伝えたい8つのポイント

池谷敏郎(池谷医院院長/医学博士)

2021年01月22日 公開 2024年12月16日 更新

「医者まかせでは腰痛は治らない」正確に伝えたい8つのポイント

内科医として活躍する池谷敏郎氏は、病気の患者さんとのコミュニケーションを大切にしています。そのコミュニケーションがスムーズでないと、医師も原因を突き止めづらいのです。

それは腰痛であっても同じ。いつまでも治らない要因となってしまいます。ここでは、具体的にどのような準備をするとよいかを紹介します。

※本稿は、池谷敏郎著『腰痛難民』(PHP研究所)から、内容を一部抜粋・編集してお届けします。

 

難民化しないための「伝え方」

長引く腰痛の原因を探るために、整形外科をはじめとした医療機関にかかるうえで、漠然とした不安を解消するには、患者さん自身の「伝え方」も大事です。

必要な情報を正確に伝えられれば、医師の診断の精度も高まります。良いヒントがあればあるほど、正しい答えを導きやすいからです。

医者側が質問を投げかけてしっかり聞き出すべきですが、聞き下手な医者がいることも事実です。診察時間内で聞きたいことをできる限り聞いて不安を解消するには、患者さん側でメモをつくっておくことをおすすめします。

医師に伝えてほしいのは、次8つのとおり。事前にメモにまとめておきましょう。

①痛む場所、程度
②いつから痛いのか、きっかけがあるのか
③痛みを強く感じる時、ラクになる時とは
④痛みはずっと続いているのか、一過性か
⑤腰痛以外の症状
⑥病歴(がん、高血圧、糖尿病、腎臓病など)
⑦今日の受診の目的は何か

腰痛といっても、背中に近い腰が痛むのか、お尻に近いのか、片側なのか、両側なのかなどいろいろなので、具体的に「このあたりが痛むんです」と手で指し示しましょう。

痛み方についても、「ジンジン」「ズンズン」「ピリピリ」「ズーン」といったオノマトペ(擬音語)や、「重だるい」「突き刺すような」「張っている感じ」などの形容語を使うとともに、我慢できる程度なのか、仕事や家事に支障をきたすほどなのかという「程度」も伝えると、わかりやすいです。

どういう時に痛みが強くなるのか、ラクになるのかも大事なポイントなので、たとえば「前かがみになると痛い」「じっとしていても痛い」など、自分の腰痛の特徴を把握しておきましょう。

そして、腰痛とは直接は関係のなさそうに見える症状に、ヒントが隠されていることもあります。「微熱が続いている」「食欲がない」「体重が減った」といったことが、腰痛の裏に隠れた病気を探る手がかりになることもあります。

「腰痛とは関係ないから」と思わず、体調に関して気になることがあれば、メモに記しておきましょう。自分の症状について伝える力を高めて、限られた診察時間を有効に使うこと。このことも、腰痛難民とならないためのひとつのコツです。

 

人任せだと腰痛は治らない

少しそれましたが、私がお伝えしたいのは、整骨院や鍼灸院、整体院などには、少なくとも整形外科に行ってちゃんと検査を受けてから通ってほしいということです。

そして、腰痛が長引く時には、「整形外科以外の病気が隠れていないか」に注意して、上手にマッサージや整体などを活用してください。

腰痛もちの人が整骨院や整体院などに通っていることが多いのは、効果を感じている人が多いということでしょう。マッサージや整体を受けた直後には、痛みが和らぐのだと思います。

ただし、それは、ゴッドハンドで体の歪みを直すということではありません。人間の体は、誰しも完全な左右対称ではなく、歪みがあるもの。その歪みを、外から力を加えることで矯正する、それも一度の施術で体の歪みを取るなんてことは、不可能と考えるべきです。

歪みを矯正するには、骨を引っ張り上げる筋肉、骨を正しく支えてくれる筋肉を目覚めさせ、筋肉で絶えず矯正するしかないと、私は思っています。

マッサージや整体を受けて痛みが和らぐのは、一時的に血流が良くなることで痛みのもととなる物質が流れていくから。リンパの流れも良くなり、詰まりのもととなる老廃物も流されるので、スッキリするわけです。

そして、痛みが取れたり和らいだりすると、自然と体を動かすようになりますよね。腰痛を治すには体を動かすことが大事です。体を動かすきっかけづくりとして、マッサージや整体を活用するといいと思います。

まとめると、整形外科に行って検査を受けてもはっきりとした原因がわからず、腰痛が良くならない時には、かかりつけ医に相談しながら消化器内科、泌尿器科、循環器科、婦人科といった診療科をひととおり回り、病気が隠れていないかを調べること。そして、とくに重大な病気が隠れていないとわかったら、ひとまず安心しましょう。

一般的な腰痛なので、ストレスを発散しながら効果的な体操を行なったり、腰に悪い姿勢を改善したりと、生活習慣を見直していくことが肝心です。その際に、マッサージや整体を受けることで痛みが和らぎ、体を動かすモチベーションにつながるのであれば、上手に活用するといいでしょう。

ただし、腰痛を克服した経験者として、自分自身の経験を振り返ると、人任せにしているだけでは腰痛は良くならないという実感があります。

私も、腰痛に悩まされていた当時、整骨院や整体院にも通いました。たしかに施術を受けた直度は痛みが取れたのですが、それだけでは良くならなかったというのが正直なところです。

腰が病む原因は、姿勢の悪さや運動不足、ストレス、肥満といったことにあります。こうした腰痛をつくっている”生活習慣”を解消しなければ、腰痛から卒業することはできません。

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「原因探し」と「付き合い方の見直し」は同時進行で

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