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相手を黙らせようと反論する、すぐに否定する…日本人が使いがちな「非論理的な話し方」

小野田博一

2021年01月25日 公開 2024年12月16日 更新

相手を黙らせようと反論する、すぐに否定する…日本人が使いがちな「非論理的な話し方」

論理って何だろう? 論理的ってどういうこと――日常よく使われる「論理的」という言葉。実は、ほとんどの人がその意味を正しく理解しないまま使っている。

「論理的」の意味を知ることは、「論理的に考える」「論理的に述べる(発言する・書く)」とはどんなことかを知ることであり、それがわかれば、それらができるようになることを意味する。「論理」のエキスパートである小野田博一氏が、「論理」についてやさしく解説した。

※本稿は、小野田博一著「一生使える!13歳からの論理ノート」(PHP文庫)から一部抜粋・編集したものです。

 

「明らかだ」ではダメ

「この新製品はよく売れるだろう。それは明らかだ」

この発言に説得力を感じる人はほとんどいないでしょう。「この新製品はよく売れるだろう」という結論部分を支えるものがないからです。「明らかだ」には、結論を支える力がないからです。

「この新製品はよく売れるだろう。売れて当然だ」

この発言にも説得力を感じる人はほとんどいないでしょう。「当然だ」には、結論を支える力がないからです。次のように変えた文でも、説得力はほとんどありません。

「明らかに、この新製品はよく売れるだろう」
「当然ながら、この新製品はよく売れるだろう」

また、「もちろん」も同様です。

「もちろん、この新製品はよく売れるだろう」

この発言にも説得力を感じる人はほとんどいないでしょう。「明らか」「当然」「もちろん」「確かに」などは、支えるものを省略しようとする場合の表現です。これらを使う際は、その点に注意しましょう。

たとえば、小論文であなたが「もちろん私たちは**せねばならない」と書いたなら、あなたは「**せねばならない理由」を書き落としてしまっているのです。

理由を示さずに主張をしている部分があると、論理性の欠けた文章に見えるので、注意が必要です。「もちろん**である」と述べたら、その後ろには「なぜなら〜」という文を必ず置きましょう。

 

理由を落とす習慣に注意

日本人は、理由を落とすことがよくあります。理由なしの表現にずいぶんなじんでいるので、理由を落としやすい傾向(理由を落とす習慣)があります。よく、次のような記述があります。

お召し上がり方:冷やしてお召し上がりください。

理由の添えられていない命令形で不快感を与える表現(「従順に従え」のタイプの表現)で、「個人の自由」の領域に踏み込んでいます(冷やして食べるか冷やさずに食べるかは、個人の自由の領域)。

冷やさずに食べると危険な場合のみ、命令形が適切です。その場合でも、理由を添えるのが望ましいのです。たとえば「冷やしてお召し上がりください。冷やさずに食べると**の危険があります」という具合に。

危険とは関係ないなら─たとえば、冷やすのが単においしさのためなら─「冷やすと最もおいしくお召し上がりいただけます」とか「冷やすとよりおいしくお召し上がりいただけます」などのように書くのがよいのです(冷やすのがおいしさのためであることが伝わるので)。

※注意:「すべてにわたって理由が必要」というわけでも、命令に必ず理由が必要というわけでもありません。単なる連絡事項には、理由は不要です。

たとえば、「きょう3時45分から学級委員会を開きます。学級委員はその時間に生徒会室に集まってください」でOK。なぜ学級委員会を開くのかの理由は不要です。メンバーを集める権限がある者がメンバーを集めるので、単に命令のみでよいのです。

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反論では、相手を黙らせようとしてはならない

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