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JR東日本やJAXA…“50社超”の新規事業に参画したプロに聞く「社内起業成功のコツ」

守屋実(新規事業立ち上げプロフェッショナル)

2021年05月24日 公開 2021年05月26日 更新

 

JR東日本の新規事業はなぜ成功したか

――社内起業は大変そうですね。うまくいった例はありますか?

【守屋】はい。いくつかあります。僕が参画している先で言うと「J R東日本スタートアップ株式会社」があります。スタートアップ企業のアイディアや技術と、J P東日本グループの経営資源をつなぎ、沿線の街をより豊かに元気に、新しい未来を創ろうとしている会社です。

J R東日本という大企業の後ろ盾はありつつも、「ハコ」ができたからといって事業は簡単に形になりません。大企業特有の調整の難しさも当初はありました。

しかしそこに「自分ゴト」として事業を考えられる、熱量をもった社員がいることで、障壁をぶち壊すように突破し、大成功を納めています。

具体的な事例としては、JR東日本で、"ウォークスルーの次世代お買い物体験"と銘打って、「商品を手に取るだけでレジも通らず、ストアスタッフとほぼ接触せずに買い物ができる仕組み」をキオスクに取り入れました。

近年、キオスクは店員の確保が追いつかず、多くの店舗の休業や閉店を余儀なくされています。そこに、外部のスタートアップと共創し、「最先端のI T技術、デバイス開発力などを取り入れ、省エネ・省人化、ユーザーにも使いやすく、人手不足問題の解決もできるという三方よしの事業を生み出しました。

J R東日本スタートアップの成果としては、4年間で923件の事業案を検討し、92件の事業の実証実験を行い、41件を事業化しています。メンバーはなんとたったの8名。J R東日本という大企業の中で短期間でこれだけの成果を出せたというのは稀有な例といえます。

――大企業がスタートアップのようなスピードを手に入れたら、もう怖いものはないですか?

【守屋】スピードの改善は大きな武器と言えますが、無敵というのは難しいですね。企業内起業に限らず、100%理想の環境で事業を立ち上げるのは不可能に近いです。

しかし不本意な対立を生み出すのではなく、与えられた状況のなかで、最大限、新規事業のための環境を手にすること、上司側もいい環境を整えてあげることが、新規事業を成功させるための鍵であると認識してほしいですね。

 

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