太る原因は食べ物ではない!? ダイエットを失敗させる「真犯人」
2021年06月28日 公開 2024年12月16日 更新
コロナ太りの原因や悪影響はあまり知られていません。雑誌『PHPからだスマイル 2021年6月号』にて、内科医の工藤孝文さんが解説した「コロナ太りの正体と改善のポイント」をここで紹介します。
※本稿は月刊誌『PHPからだスマイル 2021年6月号』より一部抜粋・編集したものです。
ホルモンバランスのくずれやストレスに要注意
コロナ太りの原因は、実は運動不足というより、ホルモンバランスのくずれによる食生活の乱れや、ストレスによる脂肪増加にあります。
自粛生活やリモートワークで、日光を浴びる機会が減ると、幸福感を得られるセロトニンの分泌が減ります。また、趣味や買い物を自粛することで、ドーパミンも出づらくなります。
セロトニンは糖質を摂ることで、ドーパミン は油を摂ることで増えるため、甘いものやパン、ポテトチップスなどを食べる量が増えて、肥満につながるのです。
さらに、ストレスを感じると分泌されるコルチゾールという物質は、筋肉を脂肪に変えてしまうため、自粛生活によるストレスもコロナ太りの原因になると考えられます。
「皮下脂肪」はいい脂肪、悪い脂肪は「内臓脂肪」
脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。皮下脂肪は、断熱材のようにからだを温め、免疫力を高めるといわれています。
問題なのは内臓脂肪。老化や病気につながる炎症を引き起こしたり、ホルモンの働きを悪化させるため、生活習慣病やうつ病を引き起こす原因になります。
肥満がからだに及ぼす5つの悪影響
肥満は見た目だけではなく、深刻な健康悪化につながる万病のモトです。
【1】糖尿病
内臓脂肪が増えると、脂肪燃焼効果のある「アディポネクチン」というホルモンの分泌が減ります。このホルモンはインスリンにも関係するため、糖尿病のリスクが高まります。
【2】高血圧
体内の水分と塩分のバランスを調整している「アンジオテンシノーゲン」というホルモンも内臓脂肪に影響されます。内臓脂肪が増えると、血管が収縮し、高血圧につながります。
【3】脳や心臓の疾患
内臓脂肪は、分解されるとコレステロールや中性脂肪の材料になります。それが動脈硬化につながり、脳梗塞や心疾患など、命に関わる病気を引き起こすので注意が必要です。
【4】がん
糖尿病の項目で、脂肪燃焼効果があるとご紹介した「アディポネクチン」は、がん細胞の増殖を抑える働きもあります。
内臓脂肪が増えると、がん細胞を抑えきれなくなるリスクが高まります。
【5】認知症
アルツハイマー型認知症の患者さんの約60%は、内臓脂肪の量が基準を超えているというデータがあるほか、中年期に腹部肥満の場合、認知症になる確率が3倍になるとの報告もあります。