1. PHPオンライン
  2. 生き方
  3. 「猫の生き方を真似する」となぜラクになれるのか?

生き方

「猫の生き方を真似する」となぜラクになれるのか?

高木佐保(ネコ心理学者)

2021年07月13日 公開 2022年06月06日 更新

 

行動編1:限界までがんばらない

平日は忙しく、なかなか猫と遊ぶ時間がない。休日は猫のために一日中家にいるぞ! と意気込んだものの、日中ほとんど寝ている猫を見て出端をくじかれたような気持ちになったことがある人も多いかと思います。

そうです、猫はとってもよく寝ます。一説によると、猫という言葉の由来は「寝る子」と書いて寝子だとするものもあります。この理由は猫の狩猟スタイルに由来します。

一度にすごい量のエネルギーを使って獲物を仕留める猫の狩猟は短期集中型。一瞬のチャンスにエネルギーを最大限利用できるように、暇なときはしっかりと睡眠をとって体力を温存しているのです。人間のように限界を超えるまでがんばったりしないんですね。私たちも猫に学んで疲れたときはゆっくり休んで、来るべき本番に向けて体力を温存したいものです。

 

行動編2:他猫(人)の顔色はうかがわない

単独性のリビアヤマネコを祖先種にもつ猫ですが、人と共生するために社会性も柔軟になりました。

猫はエサの質や量によっては集団をつくることが可能です。しかし、その集団というのはとてもゆるいもの。ランクのようなものはありますが、ほかの猫の顔色を過度に気にしたりはしないと考えられています。

なぜなら、ほかの猫のことばかり気にしてしまうと、自分がしたいことをできないからです。猫にとっては自分のしたいことをすることが、何よりも優先されるのです。

 

行動編3:柔軟な発想で物事を楽しむ

さらに猫は、なんでもおもちゃにする、遊びの天才でもあります。人間から見たらただのゴミ(段ボール、ビニールテープなど)でも、猫から見ると楽しいおもちゃに早変わり!

お金を出して購入したおもちゃより食いつく場合もあり、人間としては微妙な気持ちになってしまいます…。ゴミをおもちゃにしてしまう猫のように、柔軟な発想でどんな状況でも楽しめるようになりたいですね。

 

人間関係編1:他者と適度な距離感を保つ

猫の魅力の一つにツンツンしているかと思えば、気が向いたときにはデレデレするという面があります。こちらから近寄っても、「あ、そう」というクールな反応をするかと思えば、こちらが仕事に集中しているときに、すりすり、ゴロゴロ「抱っこして!」と甘えモードになることがあります。

研究からもこの「ツンデレ」は証明されています。名前を呼んだときにしっぽをふって駆け寄ってきてくれる犬に対して、猫は耳を向けたりしっぽで返事をしたりするのみで、(自分の名前を呼ばれていることはわかっているのに)反応を返してはくれないのです。

人に飼育される立場であっても、猫は人にべったりするわけでなく適度な距離をとります。人間は社会的な動物なので、猫に比べて群れるのが大好きですが、たまには猫に倣って、他者と適度な距離をおくことでリラックスできるかもしれません。

 

人間関係編2:新しいものに好奇心旺盛

猫は知らない人を警戒することが多いのですが、新奇な物体に対しては興味津々でにおいを嗅ぎにくる子も多いです(大きすぎるものはこわがりますが)。

たとえば、新しい家具などを置くと、多くの子がそれ何それ何!?といったようにチェックにきます。私たちも猫のように、新しいものや価値観に対して好奇心旺盛でいたいものです。

 

人間関係編3:マイペースを貫く

猫は基本的にはいつも自分のペースを守ります。他者のペースに飲み込まれたりしません。一緒に遊んでいても、飽きたらプイとどこかに行ってしまいます。

研究でも、猫が誰かから見られているからといって行動を変えるという報告はまだあまりされていないのです。おそらく祖先種が単独性なので、そのようなことを気にする必要がなかったのでしょう。私たち人間も他者からの期待に過度なプレッシャーを感じず、いつも自分のペースでいたいですね。

 

関連記事

×