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昭和世代の上司が見落としがちな「若手の本音」

2021年09月21日 公開

前川孝雄(FeelWorks代表取締役)

前川孝雄

元『リクナビ』編集長として学生の就職活動を支援するなかで、就職したものの働きがいを見いだせずメンタル不調、早期退職を余儀なくされた若手社会人も多く目の当たりにしてきた前川孝雄氏。

その経験から企業側のマネジメントに大きな課題があると気づき起業。管理職自体もプレイングマネージャーであることを強いられる現状にも寄り添いながら、400社以上で人材育成を手がけてきた。

そんな前川氏が自らが出版社となり上梓した新著『人を活かす経営の新常識』では、「雇用を守る」経営の限界を指摘しつつ、人を大切に育て活かす会社になるための条件を示している。本稿では同書より「若手社員の価値観の変化」に触れた一節を紹介する。

※本稿は前川孝雄著『人を活かす経営の新常識』(株式会社FeelWorks刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

若手社員の価値観を理解する

本稿では企業側・若手側双方にとって不幸な早期離職を防ぎ、若手社員を育てていくポイントをご紹介します。

第一は、キャリア形成の考え方を一新させることです。【図3】は、働く人生設計であるワークライフマネジメントについての考え方の変化を表わしたものです。

現在の管理職・経営層が若手時代に抱いてきた「20世紀的価値観」は、終身雇用・年功序列の職場で辛抱して「①努力」すれば、次第に成果につながり給料や職位も上がって「②成功」し、将来には経済的に豊かな「③幸せ」が待っているというものでした。

これに対し、今の若者の「21世紀的価値観」は、終身雇用や年功序列が崩壊してきた現代に育まれたものです。結果、現在の会社に依存することによる将来保障が確信できません。

そのため、日々の「(1)努力」が働きがいや自分の成長という「(2)幸せ」につながり、その積み重ねが「(3)成幸」(継続して幸せである状態)にもつながるという考え方に変化していると私は分析しています。

この意識の変化は、一見若者の自分本位な考えと感じられるかもしれませんが、それは昭和世代からの見方です。むしろ、社会・経済が大きく変動する時代に、自分自身の市場価値を頼りに生きていかざるを得ない若手世代の健全な危機感から来るものではないでしょうか。

 

意図的な傾聴と相談しやすい仕組みをつくる

第二は、直接の指導役である現場上司やOJT リーダーの役割を、管理職から支援職に変更することです。

会社からの指示・命令を完遂させるマネジメントから、若手社員側のキャリア希望を受け止め、それを組織貢献できる役割に結合させ、自発的な働きを促すリーダーシップにシフトするのです。

具体的には、直属の上司やOJT リーダーが若手社員と定例ミーティングを設定したり、業務日誌やメール日報を交換するなど、若手側から気軽に発信しやすい報連相の機会をつくることです。

その際、上司・リーダーが心がけるべきは「アドバイスよりまず傾聴」の姿勢です。これまでの上司像であれば立場上、若手社員に対して一方的な指示・命令をしがちです。必要なOJT をしっかり行うことは大切です。

しかし、指示・命令が先行すると若手社員は次第に萎縮し、発言を遠慮するようになります。そうなると、職場や仕事に対するリアリティショックや不安・不満も内面に貯め込みます。相談の機会をつくれず、ひいては離職にもつながってしまいます。これを未然に防ぐためには、意図的な傾聴の機会づくりが必須になるのです。

傾聴は、(1)相手の話をじっくり聴ける落ち着いた場所とリラックスした姿勢を整え、(2)受容的、肯定的に相手と接し、頷きや相槌で話を引き出し、(3)相手の話を共感的に受け止め、気持ちや感情の理解に努め、(4)相手の話の内容を確認し要点を繰り返すなど正確な理解を示す、といった手順で行います。

なお受容や共感は、同調や同意とは異なります。たとえ自分と異なっていても、相手の意見や気持ち、価値観を否定することなくありのままに受け止めることです。相手に「話を聴いてもらえた」「また相談に乗ってもらえる」という安心感と信頼感を与えられるのです。

その上で、相談内容にどのように対応すべきかを上司・リーダー側がしっかりと内省し、相互理解と解決に向けて向き合っていくのです。

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